
約100種類のパンを作ったという岡野さん。 つねに新しいメニューの研究に余念がない。
「子どもも手を離れたし、なにか趣味でも持とうかな……」きっかけはそんな軽い気持ちだった。郵便受けに膨大に届くチラシのなかに、「手作りパン」の文字を見止めた岡野さんは、さっそく体験教室へと足を運んでみることにした。
けっして器用なほうではない。生地に触れること自体、初めての経験だ。そもそもパンは、買って食べるものだと思っていた。しかし、およそ2時間の工程を経て生まれた自分の処女作を目にし、それまで抱いていた考えは大きく覆された。
「ただひたすら、感動しました」当時の記憶は、いまも鮮明に焼きついている。
「まさか自分ができるとは思っていませんでしたから。不器用な私でも作れたという達成感。作業自体もとても楽しかった。それ以来、ハマりましたね」

身近な材料で手軽にできる「家庭の味」。 添加物は一切入ってない。
瞬く間にパン作りの虜となった岡野さんは、その場で入学の申し込みを済ませると以後、毎日のように教室へ通いつめた。始めて1年足らずでインストラクターの資格を取得するまでになったのだから、いかに熱心な生徒だったか窺い知れるだろう。その後、青山のベーカリーで半年間、アレンジをはじめパン作りを学んだ彼女は、満を持して鷺沼の自宅で教室を開いた。
「家庭で気軽にできることが一番」と、彼女はいう。
「自分の手で作ったものは家族にもいい影響を与えます。でも特別な機械や高価な材料を使うと、教室に通う方が限られてしまう。それなら身近にあるものを使って作れるパンを扱いたいと思いました。気軽に楽しく作れるところから入っていきたかったんです」

教室は一回2時間ほど。 生徒のアイデアも積極的に取り入れる。
開業4年目を迎える現在、評判は口伝てに広がりつつある。主婦を中心に、毎週のように通う生徒もいれば、数ヶ月に一度習いに来るひとなど、スタイルはさまざまだ。「人によってペースも仕上がり時間も違うので」という思いから、一回2名までを原則に、親身な指導を行なっている。
「趣味の延長で楽しくやらせていただいてます」岡野さんは笑顔を見せた。
「私のような、趣味で始めた者が教えさせて頂いているので、来てくださるだけでうれしい。発酵を待つあいだ、パンのアイデアを出しあったり、世間話に花を咲かせることもあります。友だちの家に遊びに行くのとおなじような感覚で通ってもらえる教室でありたいですね。これまでパン作りを敬遠してきた方も、臆せず来ていただければと思います」
焼き上がったパンをまえにすると、皆なの表情が綻ぶという。また、「家に持って帰ったら子どもたちが喜んだ」という声も生徒たちから届く。手作りのパンが日常にくれる喜びを、岡野さんはじっくりと発酵させている。
取材・文◎隈元大吾
岡野手づくりパン教室
住所:〒216-0002 川崎市宮前区東有馬5-39-43
電話番号:044-865-6837 なるべく月・水・金曜の10:00迄か、17:00以降でお願いします。
レッスン時間:10:00〜12:00 13:30〜15:30 月・水・金曜
定休日:日・火・木・土曜
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