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路傍の晶:第17回 音楽教室 twinkle 佐藤さん

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第17回 音楽教室 twinkle 佐藤さん

「音楽を楽しんでほしい」と語る佐藤さん。生徒は子どもから大人まで幅広い

「音楽を楽しんでほしい」と語る佐藤さん。
生徒は子どもから大人まで幅広い


 雑木林や畑に囲まれた一軒家に黒く輝くグランドピアノが運び込まれたのは、いまからおよそ25年前のことだ。以来、川崎市宮前区を望むこの閑静な高台には絶えず鍵盤の音が響いた。そして奏でられた旋律は澄んだ空気に乗って近隣の人々の耳に届き、いつしか幼い子どもたちが集まるようになった。これが音楽教室「twinkle」のはじまりである。

「もうそんなに経つんですね」教室を営む佐藤さんは、これまでの日々を振り返り思わず目を細めた。
「ここに移った当時は近所に住む子どもたちがたくさん来てくれました。小さいうちから訓練すると、音感や指の柔軟性など、白紙だからこそ吸収できることがあります。たとえ熱心に練習しなかったとしても、継続は力なり、二十歳を過ぎてからいい音になってきたなと感じることもある。小さいときに習っていたことは宝物だと思いますね」

 もちろん教え子は幼い子どもにかぎらない。仕事の傍らレッスンを受ける社会人もいれば、保育科を志して習いに来る生徒もいる。ジャンルもクラシックにかぎらず、生徒の要望があればときにはポピュラーミュージックも採り入れる。音楽大学時代に培った幅広い知識をもとに、ピアノだけにとどまらず声楽の指導まで手がけているほどだ。いずれも個々の習熟度や希望を尊重する。

佐藤さんは自身の子どものころの経験から、親子で一緒に弾いて楽しんでほしいという

佐藤さんは自身の子どものころの経験から、
親子で一緒に弾いて楽しんでほしいという


 こうしたスタイルに落ち着くのには、じつはひとつの転機があった。5年ほどまえ、佐藤さんは体調を崩し約半年間の入院を余儀なくされた。いつ退院できるのか、そもそも完治するのかさえも判らない不安なベッドの上で、「死ぬ間際まで助けてくれるのは音楽かもしれない」と感じたのだという。ならば少しでも多くのひとに音楽を楽しんでもらいたい、生活にとり入れてほしいと願うようになった。

音楽の楽しさを伝えるうえで大切にしていることがある。楽譜選びだ。「それぞれの要望に見合う楽譜って、なかなかないものなんです」と、佐藤さんは言う。
「難しすぎて歯が立たなければやる気が失せてしまうし、簡単すぎてもつまらない。まずは教材を楽しめなければ、弾こうという気持ちにならないでしょう。ですから私はまず、生徒さんの要望に沿った譜面を探すことに時間をかけています。どうしても適した楽譜が見つからない場合は、生徒さんが楽しめるようにアレンジすることもある。とにかく皆さんに音楽を楽しんでほしいですね」


発表会では思い思いの曲と楽器を演奏。なによりも楽しむことが基本だ

発表会では思い思いの曲と楽器を演奏。
なによりも楽しむことが基本だ


 7月には大人だけの発表会を開く予定だという。クラシック、ポピュラー問わず、それぞれが弾きたい曲に取り組む。また子どもたちにはクリスマスや正月などの節目に発表会が用意されている。

「生徒さんは皆んな熱心。個々のペースで上達しています。継続は力なり、ですね」
この地に移り住んだころに教えていた子どもたちもいまや成長し、なかには佐藤さんの背中を追うようにピアノ教師になった教え子もいる。また当時の生徒の子どもが習いに来ることもあるそうだ。継続は力なり――教え子だけではない。「twinkle」もまた20余年の時を経て、その言葉を体現している。



取材・文◎隈元大吾
音楽教室 twinkle

住所:〒216-0015  川崎市宮前区菅生2-16-33
電話番号:044-976-3656
レッスン時間:応相談
定休日:日曜

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