<散策ノート>
サクラの木のトンネルが続く坂

電車とバスの博物館の 人気者、玉電
東急田園都市線宮崎台駅の改札を抜けてすぐ目にしたのは「電車とバスの博物館」の入口。「展示物のご案内」を見てみると、以前活躍していた電車、バスの車両や鉄道模型などの展示があるようです。さっそく入館したいところですが、はやる気持ちを抑え、今回も坂の始点からお行儀よく(!?)出発いたしましょう。
「宮崎台駅入口」交差点に立ち、いつも坂の始点に設置されている坂名と由来が書かれた標識を探します。しかし、今回はなぜか見あたりません。宮前区役所方面へ伸びるイチョウ並木の上を横切るのは田園都市線の高架線。その下に電車とバスの博物館の「イベント館」が建っていました。

さくら坂のサクラの幹は 太くて立派
標識を見つけられないまま、坂を上って行きます。やや急な坂は一定の傾斜で延々と続くので、上るスピードは徐々に低下。宮崎台駅に再び着くころには、「よいしょ、よいしょ」という言葉が自然と口から出てきます。と、駅の入口に「さくら坂」の標識を発見。前回までとちがって途中に設置されていたため、先ほど通ったときは見逃してしまったようです。
さくら坂の両側にはソメイヨシノ。春には淡いピンクのトンネルが作られます。毎年4月の第1日曜、宮崎台駅周辺では市民が企画、運営する「ふる里 さくら祭り」が開催。駅前バスロータリーのステージでは演奏や踊り、さくら坂の歩行者天国では大道芸などが繰り広げられるほか、フリーマーケットや模擬店なども出て、5万人近くの人々が訪れるそうです。
親子で楽しめる体験型博物館

電車シミュレータで 出発! 進行〜!
さぁ、電車とバスの博物館へ向かいましょう。入口通路には大正、昭和の時代に走っていた電車やバスの写真。頭上を走る田園都市線に急行電車が近づくと、カンカンカン!と遮断機が下りる仕組みになっている踏切も迎えてくれました。
館内には遠足で訪れた園児やおかあさん、おじいちゃん、おばあちゃんに手を引かれてやってきた子どもたち。模型の電車を夢中で目で追いかけたり、旧型車両の電車やバスに乗ったり、おもいおもいに過ごしています。

坂の終点そばの陸橋から 線路を見下ろす
なかでも人気なのは、電車やバスの運転シミュレータ。スタッフの指示に従ってハンドルを操作すると、目の前のモニターに走行風景が映し出されます。自分が動かしたとおりに映像が変化するので、子どもたちはすっかり運転手さんの気分です。
「ぺこちゃん」「いもむし」の愛称で親しまれた「玉電」では、お弁当を広げる親子やおしゃべりを楽しむおかあさんたちで、なごやかな雰囲気。入館料がリーズナブルなので、子どもの遊び場として利用している近隣の人も多いのでしょう。
さくら祭りで無料開放されるイベント館には飛行機操縦のシミュレータがあり、ちょっと挑戦。緊張しつつも、なにやらニンマリ、うれしいのでありました。
さくら坂の高低差に注目

美しい彩りのハナモモとレンギョウ
イベント館から出て、再びさくら坂。駅前バスロータリーでサクラのつぼみを見上げる人々からは、「花、まだだね」「いつごろ咲くだろうね」といった声が聞こえてきます。
坂の終点の「花園橋」交差点に到着して、あれ? と思ったのは、線路の位置。坂の始点の宮崎台駅入口交差点で見た線路は高架上。ところが、花園橋交差点で右へ曲がった先にある線路は陸橋の下。なるほど、さくら坂の始点と終点の高低差が大きいことがわかります。どおりで「よいしょ、よいしょ」も止まらないわけです。

赤ちゃんが舐めても 安心のおもちゃ
陸橋の近くに満開のハナモモとレンギョウ。坂のまわりをぐるりと歩いてみれば、ユキヤナギも満開を迎えていました。宮崎第1公園のそばにあった「おもちゃの理想郷 ゆーといぴあ 宮崎台ショールーム」では、赤ちゃん向けのカラフルなおもちゃを販売。木製おもちゃやモンテッソーリメソッドに基づいた知育玩具は赤、青、黄、緑に配色され、鮮やかです。
春は街に色彩があふれ、その美しさにあらためて気づかされる季節。サクラ色に染まった街を目にするときも、人は自然と喜びに包まれます。手作りのさくら祭りにはそんな思いが満ちあふれているのでしょう。
■ 電車とバスの博物館 044-861-6787 10:00〜17:00(日祝は9:30〜) 月曜休(祝日の場合は翌日休) 大人100円、小中学生50円、6歳未満無料
07年3月に散歩しました。
文・写真・イラスト:森田奈央 川崎市在住のフリーライター。散歩が好きで、好奇心のおもむくままに日々歩きまわっている。著書に猫を追いかけて歩いた「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)。
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