川崎市民プラザで、障害児の親子が泳ぎ始めたのは1983年が初めてでした。その陰には当時の市長へ「公共の水泳施設を障害児も健常者と変わりなく利用させてほしい」と、何度も何度も嘆願する障害児の母の存在がありました。水泳インストラクターの資格を持つ彼女は障害児の息子と一緒に泳ぎたい、他の障害児とも水泳を楽しみたいという気持ちで行政を動かして人を集め、「エンゼルフィッシュの会」を設立、現在は水泳教師の資格も取得し、会代表として頼もしい存在となっています。

川崎市民プラザにある 温水プールで活動しています。
「エンゼルフィッシュの会」の活動は、市民プラザにある温水プールで春・夏・冬休みを除いた毎週月曜日に行われています。宮前区以外からも川崎市7区全ての地域から障害児・障害者が集まり午前の部では一般の障害者向けに、午後の部では障害児約40名と親を対象に専門のコーチ陣が指導にあたっています。 障害児といっても障害の種類や程度は様々で、それぞれの運動能力にあった内容で指導しています。自分の気持ちを表現するのが難しい障害児は、「この人なら自分の気持ちを分かってくれる」と思えるコーチに出会うと、とても生き生きと楽しそうに泳ぐのだそうです。コーチも時に厳しく、時に優しく、家族のように温かく接しており、その信頼関係があるからこそ全身を預け泳げるのだと代表が話してくれました。そんな会だからなのでしょうか、幼い頃から通い始めて10年以上続けている方も多いそうです。

親子で水泳を楽しむ様子
障害児にとって水中は、普段陸上では難しい全身運動を行える場所となっています。会では泳ぐことによってのリハビリや体力増進・運動不足解消などの効果を目的としており、実際に「泳ぎ始めてから風邪を引きにくくなりました」という声も聞かれました。そういった活動効果を信頼されて、リハビリセンターからもエンゼルフィッシュの会を紹介され、訪れる親子もいるそうです。
プールの25メートルコースを何度も泳ぎ練習をした成果は、障害者水泳大会で発揮され、先日の大会でも会から出場した選手達が金・銀・銅のメダルを手にしました。それは本人の自信にもつながり、見守っていた親やコーチ達も成長ぶりに涙する場面でした。そして他の障害児には大きな目標として憧れの存在になっているようです。 競技は出来なくても自分が出来る範囲で水泳を楽しむ姿がプールで見られ、ゆったりと泳ぐ姿はエンゼルフィッシュの名前通りでした。みんな、プールに行く事が楽しみになっていて、中には朝起きた時から水着を手にして「プールに行きたい」という気持ちをお母さんへ伝える微笑ましい光景もあるそうです。 市民プールが利用できない夏休みには、会で近郊のプール施設や動物園などにバス旅行に出かけるイベントも行われています。慣れ親しんだ仲間やスタッフと、そして家族とのバス旅行は日頃頑張っている子供たちにとって大きな楽しみになっています。

信頼できるコーチと泳いでいます。
会を支えているコーチやボランティアの姿には、温かく見守りながらも少しの油断が命に関わるプールだけに、安全に対する厳しさがありました。優しさと厳しさと愛情は、障害児にも親にも注がれていて、会の強い絆を感じました。長年地域で活動する上でそれが信頼につながり、これまでの活動を評価され市から表彰を受けた事もあります。 障害を持っていても水泳を楽しめる事を多くの人に伝えたいと代表は話していました。 会では、明るい温水プールで優しいコーチ達と一緒に水泳を楽しむ仲間を募集しています。不安な点など何でもお気軽にお問い合わせください。
エンゼルフィッシュの会
問い合わせ TEL/FAX 044-852-6053 (坂本) TEL 044-855-7652(代表 児玉 18時以降のみ)
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