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かわさきマイスター活動レポート

てくのかわさき技能フエスティバル2011

かわさきマイスター24人、熟練の技を披露

4階 会議室  「かわさきマイスター」コーナー

平成11年度認定 大橋 明夫さん (プレス順送金型設計製作)

大橋さんはマイスターの活動にも積極的。入口での呼び込みも。
大橋さんはマイスターの活動にも積極的。入口での呼び込みも。
「プレス順送金型」を駆使した全工程の設計・管理を行い、量産と工程の省力化を進める、高度な技術の持ち主が大橋明夫さん。大橋さんが作る「プレス順送金型」は、主に自動車部品、ガス器具部品などの生産に使われています。「金型を作るには年季がいります。経験と知識が必要になります。生産作業がどういうものかを経験していないと難しい。10年くらい経験しているといろいろ知恵が出てきますね」と大橋さん。
順送金型の製作過程を見せるための模型。
順送金型の製作過程を見せるための模型。
ひとつの金型をつくるのに、まず試作品をつくることもあるそうです。そこで確認しながら納得した上で、次に進みます。型を作って、部品ができて、それが合格となったときの快感、「こんな喜びはありません、それを楽しみに仕事をしてますから」と話してくれました。「仕事が好きだから、苦労と思ったことないよ!」この日も、会場でニコニコしながら来場者に説明している大橋さんの姿が見られました。

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平成12年度認定 鍵屋 清作さん (金属ヘラ絞り)

鍵屋さんのビアカップは完売するほどの大人気。
鍵屋さんのビアカップは完売するほどの大人気。
鍵屋清作さんは、円形状の金属板を型にはめ、回転させながらヘラ棒で押さえ、丸い立方体の製品をつくる、「金属ヘラ絞り」の熟練の技術を持つ職人です。製品は、ホールペンのキャップから直径1200ミリの業務用パラボラアンテナまで、各種さまざま。「丸いものならおまかせください」と鍵屋さん。自動車部品、医療機械、家電製品、浄化装置など、量産する前の試作品の部品を頼まれることが多いそうです。「歌謡ショーの舞台装置とか、CM撮影用の清涼飲料のボトルとか、特注品もやりましたね」。
記念品として贈呈した菊皿
記念品として贈呈した菊皿
この日は、ステンレス製ビアカップ、皿、一輪挿しなどの展示販売をしていました。とくにビアカップは大好評で、昨年のフェスティバルで買って帰った人から、「おいしく飲んでるよ」と声をかけられるそうです。最近、かわさきマイスター5人で協力して、「川崎市・瀋陽市友好都市提携30周年事業記念品」を作ったそうです。「とても喜んでもらえたようで、嬉しかった」と話してくれました。

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平成19年度認定 飯嶋 義弘さん (時計技能士)

高級時計などの複雑な構造も、飯嶋さんは熟知されています。
高級時計などの複雑な構造も、飯嶋さんは熟知されています。
飯嶋さんはロレックスなどスイスの高級時計に代表されるアナログ式時計の複雑な構造に精通した時計技能士です。アナログ式時計は長くても5年、基本は3年でメンテナンスをする必要があります。時計の内部には部品を潤滑に作動させるため、油がさしてあります。この油が切れると時間がずれたり、部品が傷んでしまい故障につながります。部品を全て解体、洗浄し、新しい油を注入するオーバーホールを行うことで、時計を甦らせることができます。飯嶋さんはあらゆる種類の時計の構造を熟知しているため、百貨店などに持ち込まれたけれど修理を断られた時計の修理も引き受けます。足りない部品あれば自分で作ることも、たったひとつでも海外から取り寄せたりすることもあります。
この細かい作業を20分間集中して実演してくださいました。
この細かい作業を20分間集中して実演してくださいました。
今日はその時計の「解体~組立て」の実演を行いました。約80個ある部品を解体するのに10分、組み立てるのに10分ですべての作業を20分で終わらせてしまいます。
複雑な構造の時計になると、その部品の数は300にもなるそうです。今回の時計は「基本的な構造のもの」ということで飯嶋さんにとっては簡単な作業かもしれませんが、見学者はみなその作業のスピードと的確さに驚いていました。

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平成17年度認定 竹内 三郎さん (円筒研削技能士)

超極細ピンや航空宇宙産業用精密治具などが展示されました。
超極細ピンや航空宇宙産業用精密治具などが展示されました。
竹内さんは、スーパーコンピューターの生産にも使われる円筒研削の達人です。タングステン、コバルトなどの超硬合金・鋼鉄を1000分の1ミリメートルという超ミクロ太さに加工することができる技能の持ち主です。コンピューターでも制御しきれない細かい加工を、指の感覚や目で見ながら、自ら行います。
技能は一人だけのものではなく、互いに切磋琢磨しながらものづくりの腕を磨いていくことが大切だと説き、ベトナムにも工場を建設して現地の優れた技術者を採用しています。福祉活動にも熱心で、障害者や高齢者に役立つ製品開発にも力を入れています。

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平成18年度認定 石塚 よし子さん (洋歳技能士)

石塚さんの手にかかれば、どのような素材でも思うままに仕上がります。
石塚さんの手にかかれば、どのような素材でも思うままに仕上がります。
顧客の体型や好みに合わせて、創意工夫でオーダーメイドの魅力を伝える洋裁のプロフェッショナル、それが石塚よし子さんです。「まずお客様の希望をよく聞きます。とにかくご本人の希望どおりやらないとダメ」と石塚さん。結婚式出席で着たい、旅行に着て行きたいなど、目的があることが多いので、それに合わせてデザインします。生地を選び、採寸し、型紙をつくり、直裁ち、つまり生地を直接裁断します。「早いわね!」とよく言われるそうです。仮縫いまでくると、先が見えてきます。ここで「できあがるともっと良くなりますよ!」と、お客様に声をかけます。
今、デザインから縫製までトータルにできる人がなかなかいない。若い人は、デザイナー志望、パターンナー志望が多いようで、縫製までできる人が少ないといいます。「私のこだわりはていねいに仕上げること」と石塚さん。「洋裁はいつまでもできる仕事、技術があるっていいことかな」と話してくれました。この日は、川崎洋装組合のメンバーと婦人服や小物の展示販売をしていました。

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平成18年度認定 吉田 良雄さん (靴製造)

織田信成選手の靴の型紙。
織田信成選手の靴の型紙。
吉田良雄さんはトップフィギュアスケーターの靴を長年製作している日本で唯一の職人です。軽量化された外国製のものには真似できない、選手に完全にフィットした靴を製作しており、選手からの信頼も厚いスケート靴製作のプロフェッショナルです。
今日はそのスケート靴の型紙を展示。余り目にする機会のない「スケート靴の型紙」に来場者の方も興味深々でした。

平成19年度認定 落合 康孝さん (プリント配線基板製造工)

様々なLED基盤を展示されていました。
様々なLED基盤を展示されていました。
宇宙を観測する「すばる望遠鏡」向けの特殊基板を開発した落合さんは、特殊用途プリント配線基板の第一人者です。プリント配線基板は、携帯電話やパソコン、ゲーム機、テレビ、自動車、ロケットなど、あらゆる電気製品に使われている電子回路を支えています。電子部品を固定し、配線するためのもっとも重要な部品であるといえます。
今日はLED基板と最新アイテムの展示を行いました。植物を育成する際に使うLEDの照明装置や、自動車のLEDヘッドライト、ベンツのドレスアップパーツに採用されたというLEDフォグランプ、中には国内初の実用化、曲がるLED基盤というものも展示されていました。

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平成20年度認定 平賀 正明さん (生産システム(加工・組立))

作業の効率化に欠かせない治具をつくるスペシャリストの平賀さん。
作業の効率化に欠かせない治具をつくるスペシャリストの平賀さん。
加工・組立のための機械、装置を「治具」といいます。「治具」を含む生産システム全体の、設計・製作のエキスパートが平賀正明さんです。お客さまの図面どおりの品物を納めるために、金型が必要な場合は金型を作ります。その金型をつくるために、「加工受け治具」「固定治具」を作り、加工物の位置を決め、がっちり固定するため、品物に合わせて開発するそうです。
手作業を治具化してみませんか?<br>と展示されたサンプル。
手作業を治具化してみませんか?
と展示されたサンプル。
一方、組み立てる場合は、「組立治具」を作ります。加工された部品同士を貼り付けたり、組み立てたりという工程で使われるものです。「手作業が自動化されることで、作業効率が10倍になることもあります」と平賀さん。治具とは、主に社内の生産体制のために開発した道具ですが、この日は、来場客の希望がある場合は、「概要でよければ、お話できますよ」と言っていました。

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平成22年度認定 伊藤 直義さん (機械設計製作)

ボタンを押すとシャボン玉が!<br>お子さんの中には何回も何回も夢中になって押していく子もいました。
ボタンを押すとシャボン玉が!
お子さんの中には何回も何回も夢中になって押していく子もいました。
伊藤さんは高度に分業化、機能化が進んだ工業生産の世界で、これまで数百種の機械を設計・製作してきました。大手企業が開発できない製品を次々と開発する、まさに駆け込み寺。機械、電気、化学などの知識と豊富な経験を生かしたアイデア豊富なマイスターです。
今日はボタンを押すとシャボン玉が出てくるという装置を展示。この装置は、イベントでシャボン玉を飛ばす演出をしたい、という相談からできたものだそうです。来場した子どもは夢中になって何度もボタンを押していました。

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1階 工作室

平成16年度認定 浅水屋 甫さん (広告看板製作)

お客様のリクエストに応えて実演する浅水屋さん。
お客様のリクエストに応えて実演する浅水屋さん。
浅水屋 甫さんは、石油タンク、鉄橋、歩道橋、看板の文字、企業ロゴマークなどを、高所難所の現場で筆一本で書きあげる「筆」の匠。鹿児島県鹿児島市喜入の石油基地では、大型タンクの壁面に横20メートル、縦10メートルの石油会社のロゴマークを書いたそうです。滑車とロープを使って上から書いて、徐々に下に降りていきます。「磁石が、意外にも必需品なんだよ。塗料や筆をのせる台になる」と浅水屋さん。
どんなフォントでも自由に描くことができます。
どんなフォントでも自由に描くことができます。
この日はイベントではお馴染みで好評の手描き表札の販売と、実演コーナーで、「揮毫」の実演を行いました。お客さまのリクエストに応えて、それぞれ異なる書体で文字を書いていきます。まず楷書体で「魁」、次は角ゴシック体で「旭」、そして行書体で「夢」。スピーディで、リズミカルな筆さばきです。「体重移動しながら、上下左右に筆を使います」と、娘さんの美枝さんが解説をしてくれました。お客さまの大拍手を浴び、浅水屋さんの晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。

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平成10年度認定 石井 一夫さん (刃物研ぎ・鋸目立て)

機械も使いこなすことが大事、という石井さん。
機械も使いこなすことが大事、という石井さん。
石井一夫さんは、鋸を作る技術を持ち、目立て(鋸の刃を整えて切りやすくする)、包丁・ハサミなど刃物研ぎの第一人者です。「包丁を見ると、どんな人が使っているか、だいたい分かるよ」と、石井さん。「年配の方が使ってるんですか?」と、ちょっと聞いてみるそうです。「そうだ、おばあちゃんが使ってるんだ」と返事が返ってくると、なるべく薄く研ぐのだそうです。
この日もたくさんの刃物が持ち込まれました。
この日もたくさんの刃物が持ち込まれました。
この日は、包丁研ぎ800円、ハサミ研ぎ1,000円という特別価格ということもあり、朝から研ぎの注文が殺到し、石井さんは息つく暇もないほどの忙しさでした。石井さんの腕前をよく知っていて、毎年のように頼みに来られるお客さんも多いそうです。刃物研ぎ専用の水研機と砥石で丁寧に研ぎ、納得のいくまで繰り返します。どんなに忙しくても、けっして手抜きをしない石井さんならではの仕事ぶりは、まさに感動的でした。

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平成9年度認定 石渡 弘信さん (手描友禅)

自由な感性で手描友禅の体験してもらいたい、と言う石渡さん。
自由な感性で手描友禅の体験してもらいたい、と言う石渡さん。
石渡弘信さんは、日本の自然の美しさ・豊かさを生地の特性をいかしながら、深みのある色合いで染め上げる匠です。手描友禅は、まず防染糊を入れた細い筒で、輪郭を描いていくことから始まります。この防染糊の輪郭ができて、はじめて色を挿すことができます。この日、色挿しの体験コーナー(500円)では、既に輪郭が描かれた木綿の白いハンカチが用意されました。さまざまな模様の中から自分の好きなものを選んで、色を挿していきます。
細かい模様の友禅
細かい模様の友禅
色挿し体験をした人は10数人。色の表現はまったく自由、輪郭の外の余白をどう使うかもまた自由です。「体験しながら、新しい自分を発見できるといいですね」と石渡さん。「一人一人顔が違うように、違う作品ができていく方が楽しい」。石渡さん自身の作品も展示販売されていました。「東袋」という着物の端切れを利用した小物入れ(今で言うエコバッグ)は8,000円。独特のぼかしを入れた植物をモチーフにしたハンカチも人気があるとのことでした。

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平成21年度認定 田中 司好さん (食品サンプル)

本物より美味しそうな食品サンプル。
本物より美味しそうな食品サンプル。
皆さんも一度は目にしたことがある美味しそうな食品サンプル。その食品サンプルを作っているのがテレビや雑誌などでも活躍されている田中さんです。田中さんは食品サンプル作り51年のキャリアを持つ、第一人者のマイスターです。食品サンプルは何より「美味しそう」に見せなくてはいけません。田中さんはどんな食べ物でも本物を見ずに色や形をリアルに、そして美味しそうに再現することができます。
この日は食品サンプルづくりのデモンストレーションとして「レタス」を作って披露していました。また、田中さんの会社「つかさサンプル」で販売している食品サンプルを使ったキーホルダーやストラップ、スマートフォンケースなどの販売も行っていました。

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一流の職人さんの実演を見たり、「ものづくり」の仕事を体験したりすることができる技能フェスティバル。今日もたくさんの親子連れが訪れていました。子どもたちはとても楽しそうに、また興味深そうに参加しているのが印象的でした。「ものづくり」の職人さんの中でも最高峰の技能を持つかわさきマイスターと直接会えるチャンスです。ぜひ足を運んでみてください。