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かわさきマイスター活動レポート

虹ヶ丘小学校の児童が食品サンプル作りに挑戦

かわさきマイスターの田中司好さんが来校

6年生(4時限目/総合)

作り立て?の天丼。ロウの着色にはアクリル絵の具を使っているそうです
作り立て?の天丼。ロウの着色にはアクリル絵の具を使っているそうです
天ぷらのサンプル作りの実演から授業は開始。田中さんは液状のロウをお湯に落として衣を作り、エビ、カボチャ、ナス、サツマイモ、シシトウと次々と天ぷらを作っていきました。「サツマイモは面積が少ないから衣は少なめに。シシトウは緑色を見せるために全部に衣をつけないで作ります」と、具材によって衣に変化をつける芸の細かさ。
「作りたい人は?」との呼びかけに大きく手が挙がりました
「作りたい人は?」との呼びかけに大きく手が挙がりました
田中さんが「作りたい人は?」と呼びかけると、6年生のみんなもやはり、大きく手を挙げました。じゃんけんで代表になった生徒たちは立派なエビ天を完成させ、田中さんから「上手、上手」と褒められて嬉しそう。衣にエビを乗せてから引っくり返すタイミングもなかなかのものでした。
お湯に手を入れて天ぷらを引っくり返します
お湯に手を入れて天ぷらを引っくり返します
見守る子供たちから声援が飛びました
見守る子供たちから声援が飛びました

「グウーッと引っ張ってごらん」と田中さん
「グウーッと引っ張ってごらん」と田中さん
次はレタス作り。田中さんの実演の後、女子生徒2人が代表で挑戦。「グウーッと下に引っ張ったら、さあっとお湯から引き揚げて」と、田中さんのアドバイスを受けながら、垂らしたロウをお湯の中に潜らせます。葉の形になったロウを丸めると小さなレタスの出来上がり。友達から拍手をもらいました。

レタスを作った2人は、「液体がサンプルに変わるのが不思議でびっくりしました。工夫して自分でサンプルを作れるマイスターはすごい(加藤愛望さん)」、「レタスは葉っぱの形を作るのが、スイーツはパーツのバランスが難しかったです(森下結佳さん)」と話してくれました。
温めた包丁でカット
温めた包丁でカット
本物そっくりの断面
本物そっくりの断面

思わずなめたくなる生クリームはシリコン製
思わずなめたくなる生クリームはシリコン製
続いて全員がシリコンの生クリームを絞り、スイーツサンプル作りを体験。友達とパーツを交換したり、お互いの作品を見比べあったりしながら、楽しい時間を過ごしました。田中さんや信司さんの手を借りずに、自分一人でクリーム絞りに挑戦する生徒の姿も。
みんな真剣
みんな真剣
上手に絞れたかな?
上手に絞れたかな?
友達と比べっこ
友達と比べっこ
組み合わせを考えながらトッピング
組み合わせを考えながらトッピング

最後まで熱心に質問に答える田中さん
最後まで熱心に質問に答える田中さん
授業の締めくくりに田中さんが「みなさん、作って楽しかったですか?」と問いかけると、生徒たちは「はい!」と大きな声で返事。それを聞いた田中さんは「来た甲斐がありました。これから食堂に行って食品サンプルを見たら、おじさんが作ったんだなと思い出して下さい」とあいさつしました。

質問コーナー

実演と体験を通して、すっかり食品サンプルの世界に魅了された子供たち。質疑応答の時間では、生徒たちから田中さんへたくさんの質問が寄せられました。
タイのサンプルを手に説明する田中さん
タイのサンプルを手に説明する田中さん
○作るのが一番難しい食品サンプルは何ですか?
鮮魚のようなサンプルが一番難しいです。習字で名前を書く時に使う面相筆で鱗を一枚一枚描いていきます。同じ魚でもいろいろな色がありますが、頭の中でその色を思い浮かべて色をつけていきます。一つずつ手作りなので、10個作ったら、10個違うものができます。生の魚を作るには10年以上の経験が要ります。

○1個作るのにどれぐらい時間がかかりますか?
例えばタイの場合、シリコンで型をとりますが、シリコンが固まるのに10時間ぐらいかかります。シリコンをはずして型にビニールを流し入れ、20分ぐらい焼き固めて形ができたら、そこに色をつけていきます。続けてやったら1日ぐらいかかるかな。

○素材は何ですか?
みなさんに体験してもらった天ぷらやレタスはロウですが、持ってきた食品サンプルはビニールでできています。だから、落としたり、たたいたりしても壊れません。

○ごはんはどうやって作るの?
鯛焼き器と同じ原理で、板状に延ばしたビニールを米粒の形をした器械で挟んで切っていきます。一粒ずつ作って、それを接着剤で混ぜて固めます。

○なぜ、この職業についたんですか?
小学6年生の時、母親が持ってきてくれたのり巻きを本物かと思って口に入れたら、食べられないとわかって、こういう仕事があるのかとすごく興味を持ったので、この世界に入りました。

○どんな修行をするんですか?
最初にする仕事は、例えばグリーンピースのような細かいサンプルを、色を作って一個一個作成していきます。そこから始まります。

○食べ物以外も作るの?
作れないのは造花ぐらい。あとは何でも作れます。毛ガニの毛も作ることができます。ここに持ってきたサンプルの中に伊勢エビがありますが、このひげは髪の毛と同じぐらい細くて技術的に難しいので、10年ぐらい経験がないと作れません。

○作って楽しいものは何ですか?
私は和食が上手だと言われています。焼き魚は焼きでごまかすことができるけれど、生魚はごまかしがききません。


田中さんのお話

現在の食品サンプルはビニール製。色落ちせず、熱と衝撃に強いそうです
現在の食品サンプルはビニール製。色落ちせず、熱と衝撃に強いそうです
食品サンプル作りを子供たち全員に体験してもらい、ものづくりの楽しさを知ってほしい、という気持ちで授業をしました。今日は随分、喜んでもらえたので嬉しいです。作ったものは一人ひとり出来が違っていい。自分ができた、ということを受け止めてほしいと思います。まずは興味を持つことがものづくりにとって大事。自分が思うように作ってほしいです。
食品サンプルは日本だけの技術です
食品サンプルは日本だけの技術です
例えば同じイチゴでも種類によって形や大きさが違うので、これまで作ったサンプルの種類は数えきれません。工程も凝れば凝るほどきりがない。サンプルはミリ単位で印象が全く違ってくるので、お客さんの注文に忠実に応えます。毎日の食卓から、食品の見た目や味を確かめるなど、観察を怠りません。それが仕事に生きてきます。そして、お客さんにほめてもらい、子供たちが感動してくれることが最高です。

色鮮やかで食欲をそそる食品サンプルは子供たちに大人気。ふだんは触ることが出来ないサンプルに触って大喜びでした。今回の体験はそれを自分の手で作りあげる面白さも知ることができ、子供たちの食品サンプルへの興味、ものづくりへの関心がより高まったのではないでしょうか。3時間続けて授業をされた田中さんの熱意が十分に伝わったと思います。