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宮前バスの旅

「柿04 鷲ヶ峰営業所前〜柿生駅前」の旅

第17回

提供:川崎市
宮前区内を走るバスは約45路線。坂が多い地域でもあり、バスは日常の足として欠かすことができないものです。
そんな移動手段としてふだん利用している路線バスも、のんびり“バスの旅”を楽しめば、窓の外には今まで知らなかった風景が待っています。
毎回、ひとつの路線を始発から終点まで乗車し、気になる停留所に途中下車。そこで出会ったものを紹介します。

路線案内

【運行バス】 川崎市バス
【系統名】  柿04
【おもな停留所】 鷲ヶ峰営業所前−稗原−裏門坂−王禅寺口−真福寺−柿生駅前
【運行距離】 約6.4km
【経路】 鷲ヶ峰営業所前停留所を出発後、稗原交差点を右折し、尻手黒川道路を直進。ヨネッティー前交差点を左折し、日吉交差点を左折。日吉ノ辻交差点を右折し、王禅寺ふるさと公園に沿って走る。石橋交差点を右折し、新大谷交差点を左折。真福寺交差点を左折し、切り通しの道の先の交差点を右折。左手のバスロータリーにある柿生駅前停留所に到着。
【特徴】 宮前区菅生ヶ丘の鷲ヶ峰営業所を出発地とし、到着地の柿生駅前までの路線ほとんどが川崎市麻生区内を走る。運行回数は、な、なんと平日は6時と14時に1便ずつ、土曜は6時に1便、休日は6時と7時に1便ずつのみ。稗原停留所から「溝17」を利用すると柿生駅前まで同じ路線を行くため、代用可。溝17の運行回数は、平日、土曜、休日ともに1時間に1〜4便。
鷲ヶ峰営業所前
鷲ヶ峰営業所前
稗原
稗原
裏門坂
裏門坂
琴平下
琴平下
柿生中学校下
柿生中学校下

バス旅記

王禅寺ふるさと公園の流れは<br>子どもたちの水遊びに人気。<br>途中に滝もある。
王禅寺ふるさと公園の流れは
子どもたちの水遊びに人気。
途中に滝もある。
鷲ヶ峰営業所前停留所から「柿04」のバスに乗ろうと時刻表を見て、びっくり。運行数が1日1〜2便です。これでは出発しても途中下車したら、終点までたどり着けない!? どうしたものかと呆然としていたら、「稗原停留所から『溝17』に乗れば柿生駅まで行けますよ」と、ありがたい天の声(!)。稗原停留所へと向かいます。
 本来は「柿04」の旅ですが、仕方がありません、途中から同じ路線をたどる「溝17」を利用してよし! としよう……と乗って、最初に下車したのは裏門坂停留所。左手に緑が続く道です。
 バス停留所で目にしたのは「柿生の里散歩道案内図」。豊かな緑は「王禅寺ふるさと公園」のものだとわかりました。多摩丘陵の起伏に富んだ地形と自然をそのまま生かした広大な公園で、多目的広場、芝生広場、見晴らし広場や雑木林には遊歩道が整備されています。また、多摩川をイメージした流れは子どもたちの格好の遊び場。暑い日には多くの親子連れが訪れるそうです。
高さ13メートル、横14メートルの<br>大鳥居に圧倒される琴平神社・儀式殿。
高さ13メートル、横14メートルの
大鳥居に圧倒される琴平神社・儀式殿。
王禅寺ふるさと公園の先には「琴平神社」があります。文政9年(1826)に讃岐の金刀比羅宮の分霊を勧請し、神明社と合祀したとされる社。足を伸ばして行ってみると、本殿と拝殿は再建工事中でした。
 平成19年6月、琴平神社の拝殿は放火によって全焼。本殿は蔵造りだったため、ご神体やご神宝は守られましたが、拝殿の格天井に描かれていた貴重な花鳥山水の板絵63枚が焼失してしまいました。
 「本殿と拝殿の再建事業は、今年(平成21年)4月に着工し、平成22年10月に竣工をめざしています。現在は境内を整備するため地盤作りをしているところです」と工事の方。拝殿の板絵も復元される予定とのことで、地域の歴史的な文化財が失われたのは残念でなりませんが、再建復興されると聞いて、ほっと嬉しくなります。
弁財天社の銭洗い池でお金を清める。<br>弁財天は芸能、学問、音楽の神でもある。
弁財天社の銭洗い池でお金を清める。
弁財天は芸能、学問、音楽の神でもある。
本殿からバス通りの交差点をはさんだところには、琴平神社の儀式殿があります。境内には天照皇大神と大物主神のほか、稲荷社、多賀大社、塩釜大社、“殖財の神”と知られる弁財天社(銭洗弁財天)が祀られています。
 弁財天社の鳥居をくぐると、銭洗い池。ざるとひしゃくが用意され、「淨水でお金を洗い清めると倍増の財をなすと言われる」と立て看板。いそいそと財布からお金を取り出し、念を入れてよーく洗い清めます。
 琴平神社では、毎年6月30日に「夏越しの祓(なごしのはらえ)」が行われます。夏を迎える前に “茅の輪”と呼ばれる大きな輪をくぐると日ごろの汚れや災いなどが祓われ、夏の暑さを乗り越えられるといわれる行事で、当日は15時から儀式が始められるそうです。
浄慶寺の境内の斜面に咲くあじさい。<br>散策路をめぐりながら観賞できる。
浄慶寺の境内の斜面に咲くあじさい。
散策路をめぐりながら観賞できる。
琴平下停留所から乗車し、次に下車したのは柿生中学校下停留所。切り通しの道に「柿生の里散歩道案内図」を窓越しに発見したからです。
 案内図のそばの階段を登ると、緑地「おっ越し山ふれあいの森」。散策路が整えられていて、気分はしだいにしっとり。と、進んでいくと散策路が二手に分かれ、右手に人々の気配。なんだろう? と垣根の向こうをのぞいたら、あじさいが山の斜面一面に見事に咲き競っています。
 ここは“柿生のあじさい寺”として有名な浄慶寺。「今年は5月から咲いているものもありましたが、あじさいの花は長いので、6月いっぱいは観賞できますよ」とお寺の方。
 人々があじさいとともに楽しんでいるのは、さまざまな格好をした羅漢さま。将棋を指している羅漢さま、お酒を酌み交わしている羅漢さま、腕相撲をしている羅漢さま、携帯電話でメールを打っている羅漢さまなど、とってもユニーク。羅漢さまの穏やかな笑顔につられて人々も、あらあら、みんな笑顔になっていました。


2009年6月中旬に取材しました。
文・写真・地図:森田奈央
川崎市在住のフリーライター。散歩が好きで、好奇心のおもむくままに日々歩きまわっている。著書に猫を追いかけて歩いた「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)。