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宮前バスの旅

「鷺04 鷺沼駅-センター南駅」の旅

第19回

提供:川崎市
宮前区内を走るバスは約45路線。坂が多い地域でもあり、バスは日常の足として欠かすことができないものです。
そんな移動手段としてふだん利用している路線バスも、のんびり“バスの旅”を楽しめば、窓の外には今まで知らなかった風景が待っています。
毎回、ひとつの路線を始発から終点まで乗車し、気になる停留所に途中下車。そこで出会ったものを紹介します。

路線案内

【運行バス】 東急バス
【系統名】  鷺04
【おもな停留所】 鷺沼駅-中有馬-すみれが丘-センター北駅-センター南駅
【運行距離】 約5.6km
【経路】 東急田園都市線鷺沼駅のロータリーを出発し、さぎ沼南大通りへ。有馬街道(久末鷺沼線)の中有馬交差点で右折し、ケヤキ通りを行く。すみれが丘入口交差点を直進して区役所通りに入り、横浜市営地下鉄センター北駅のロータリーを経由。再び区役所通りを走り、都筑区役所・警察署交差点を左折。まもなく横浜市営地下鉄センター南駅のロータリーに到着。
【特徴】 川崎市宮前区にある鷺沼駅と横浜市都筑区にあるセンター北駅・南駅を結ぶ路線。1時間に2〜4本運行(全日9時〜18時)。川崎市内乗車は200円、横浜市内または川崎市内と横浜市内にまたがる区間乗車は210円。運転手のなかには女性も。
鷺沼駅
鷺沼駅
牛久保西公園
牛久保西公園
センター北駅降車場
センター北駅降車場
センター北駅
センター北駅
センター南駅降車場
センター南駅降車場

バス旅記

住宅街の静かな土橋南公園。<br>イルカやてんとう虫のかわいい乗り物が<br>置かれている。
住宅街の静かな土橋南公園。
イルカやてんとう虫のかわいい乗り物が
置かれている。
 『宮前バスの旅』で何度か出発点となっている鷺沼駅。駅前から続く桜並木をたまプラーザ駅方面へ行くと「梶01 鷺沼駅-梶が谷駅の旅」で訪れた「鷺沼公園」。イチョウ並木を土橋方面へ向かい、坂の上の交差点で右折してトウカエデ並木を行くと、「鷺01 鷺沼駅-東山田営業所の旅」で訪れた「カッパーク鷺沼」があります。
 イチョウ並木を土橋方面へまっすぐ行ったら何があるのかなあと進んでみると、前回訪れた「宮02 宮前区役所前—野川台の旅」の“鞍掛けの松探し”の「鷺沼北公園」。おぉ、ここかあと思いながら引き返し、土橋3丁目の「土橋南公園」に寄ります。
 秋の陽ざしが降りそそぐ公園内には、桜をはじめとした木々。色づき始めた葉を見上げながらのんびり一周すると、気持ちいい〜! 秋をもっともっと感じたくなります。
散歩やランニングの人々が行き交う<br>くさぶえのみち。<br>時折、横浜市営地下鉄ブルーラインの<br>電車が通る音が聞こえる。
散歩やランニングの人々が行き交う
くさぶえのみち。
時折、横浜市営地下鉄ブルーラインの
電車が通る音が聞こえる。
 というわけで、鷺沼駅からセンター南駅行きのバスに乗車。鷺沼、有馬と走り抜けて、一路、横浜市都筑区に広がる港北ニュータウンを目指します。この街ではもともとあった自然を残し、公園、緑地、せせらぎなどを緑道によって連結。その緑道は全体で5本、全長14.5キロメートルにもおよび、どこの森に迷い込んだのだろうと思わせるような自然の空間が形づくられているのです。
 牛久保西公園停留所で下車し、山崎公園、牛久保西公園、牛久保公園、徳生公園をつなぐ緑道「くさぶえのみち」を散策。青く高く澄みきった空に赤い葉、黄色い葉がまぶしく輝いています。せせらぎに目を移すと、透きとおった川底にも真っ赤な落ち葉。ころころと流れる水に揺らめいています。
 「イトトンボがいるんですよ」と教えてくれたのは、一眼レフカメラを首からさげた男性。「温暖化のためか、最近では沖縄を生息地とする種類を見つけることもあります。環境がいいから、さまざまなトンボやチョウが棲んでいますよ」。
大塚・歳勝土遺跡公園の大塚遺跡。<br>9〜17時開園、月曜休園、入園料は無料。
大塚・歳勝土遺跡公園の大塚遺跡。
9〜17時開園、月曜休園、入園料は無料。
 豊かな自然と隣り合わせの生活環境が実現されている港北ニュータウン。地域の歴史的な遺産も大切に保存されている街でもあります。そこで、センター北駅停留所で下車し、横浜市歴史博物館に隣接する「大塚・歳勝土遺跡公園」へ。この公園には弥生時代中期の遺跡が残されているのです。
 美しい竹林の道を上っていくと、外周に溝をめぐらせた大規模な環濠集落跡「大塚遺跡」。85軒の竪穴住居跡、10棟の高床倉庫跡なども発掘され、いくつか復元されています。少し離れたところには25基の方形周溝墓が確認された「歳勝土遺跡」。こちらでは棺を納めた四角い穴などが復元されているのが見られます。この2つの遺跡は集落と墓が一体となった貴重なもので、国の遺跡に指定されているそうです。
 また、公園の奥には江戸時代中後期、都筑郡牛久保村(現在の都筑区牛久保町)に建っていた民家「旧長沢家住宅」を移築・復元した「都筑民家園」もあり、季節ごとに催される行事も人気を集めています。
 大塚・歳勝土遺跡公園、都筑民家園、横浜市歴史博物館では、ちょうど『ニュータウンピクニック 遺跡をめぐるアート』展を開催中。遺跡のかたわらに展示されたアート作品は新鮮な驚きを与えてくれるものばかりで、あっちからこっちから眺めて、おもしろいなあ……。期間中はパフォーマンス、ワークショップなども行われます。
■アート展は09年11月7日まで。詳しくはhttp://tsuzukiartproject.org
都筑中央公園の外側の遊歩道。<br>夕暮れのやわらかく差し込む光に、<br>秋だなあとしみじみ。
都筑中央公園の外側の遊歩道。
夕暮れのやわらかく差し込む光に、
秋だなあとしみじみ。
 さて、終点のセンター南駅停留所から向かったのは、都筑中央公園。面積18.9ヘクタールの区内最大の公園で、遊歩道、池、展望広場、休憩所などが整備されています。特定非営利活動法人「都筑里山倶楽部」が公園の保全作業を進めていて、園内の田畑での収穫体験、窯での炭焼き活動、自然観察会などの行事を毎月行っているようです。
 がさがさと落ち葉を踏みながら、コナラ、シイノキ、イヌシデ、ヒイラギ、エゴノキなどの雑木林を行くと、がつっぽつっと何かが落ちる音。足下に長いの細いの丸いの大きいのさまざまな形のどんぐり、それから松ぼっくりが転がっています。耳をすませば、虫の声。秋が着々と深まっているのがわかります。
 公園の外に一歩出ると高層のビルやマンション群。道路も鉄道も整然と機能した都市のなかに、これだけの自然が存在し、融合していることに驚きます。都筑中央公園からは緑道「ささぶねのみち」が鴨池公園、葛ヶ谷公園、大原みねみち公園へ。秋をまだまだ見つけられます。

2009年10月下旬に取材しました。
大塚遺跡にアート作品が出現!<br>いつもとは異なる風景にびっくり!!
大塚遺跡にアート作品が出現!
いつもとは異なる風景にびっくり!!
『ニュータウンピクニック 遺跡をめぐるアート』アート展
10月20日(火)〜11月7日(土)10:00〜17:00
雨天決行・入場無料
(11月2日は一部展示会場が閉場)

開催地/大塚・歳勝土遺跡公園、横浜市歴史博物館、都筑民家園
http://tsuzukiartproject.org

●アートツアー
11月1日(日)13:00〜、3日(火)11:00〜
参加無料・雨天決行・申込不要
集合場所/歴史博物館エントランス
●パフォーマンス
10月31日(土)16:30〜
場所/都筑民家園竹林からスタート
11月3日(火)13:00〜
場所/歴史博物館エントランスからスタート
●オモヤカフェ
11月1日(日)、2日(月)、3日(火)10:00〜16:00
場所/都筑民家園主屋
コーヒー、抹茶、ジュースなど300円から
文・写真・地図:森田奈央
川崎市在住のフリーライター。散歩が好きで、好奇心のおもむくままに日々歩きまわっている。著書に猫を追いかけて歩いた「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)。