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川崎アワード

第10回 日本最古の甘柿 王禅寺丸柿 殿

秋の味覚「柿」の美味しい季節です!


川崎市に日本最古の甘柿といわれている柿があるのをご存知ですか?


今回はその「甘柿」のルーツをたずねてみました。

王禅寺の入り口
王禅寺の入り口

「関東の高野山」といわれた王禅寺(正しくは、星宿山華厳院王禅寺)。


そこまで言われているほどの由緒あるお寺とは思えないほど、意外とシンプルな入り口。

しかも、お寺はいったいどこ??


門を入っても、散歩道のような細い道があるだけで…

雨上がりの秋の平日。


王禅寺へ続く、この細い道には人影はない。


人が一人通れるくらいの歩道と、生い茂った草花。
道の脇には小川が流れていて、お天気のよい日なら絶好のお散歩コースだ。

道端に時々でてくる「つみ草禁止」の立て札。


きっと散歩にきて、咲いている花なんかを拝借しちゃう人がいるのでしょう。

だけどせっかくの自然の景色は大事にしたいよねえ。

あれぇ、まだお寺が見えてこない。延々と続くこの道。


ときおり両側の茂みから「ガサガサっ」という音が聞こえる… 
ぜったいに何かいるよーここ。

どこまでもまっすぐに続く道の先は、暗い。
どこまでもまっすぐに続く道の先は、暗い。
ああ、道はまだ続く。
ひと気のないお寺の道って、ちょっとこわい…
ああ、道はまだ続く。
ひと気のないお寺の道って、ちょっとこわい…
でもねえ、なーんかつつきたくなっちゃうよね
でもねえ、なーんかつつきたくなっちゃうよね

と、思いながらてくてく歩いてたら、おお!これは柿!じゃない?


道端に野性味たっぷりに生えている柿の木には、美味しそうな柿の実がいくつもなっていました。


さきほど、つみ草禁止の立て札にうなづいていたにもかかわらず、柿をみたら棒か何かでつつきたくなってしまう… しかしここは大人。人目がないからって、そうゆう悪いことなんか絶対にしないのだ。

けっこう暗い
けっこう暗い

柿の木を横目に歩いていくと、ようやく見えてきた階段らしきもの。

まるで、日本むかしばなしに出てきそうな、古い古い入り口です。

走ってのぼると滑って落ちます
走ってのぼると滑って落ちます
両脇にはこわーい顔の仁王様がいるのだ
両脇にはこわーい顔の仁王様がいるのだ
かなり急な階段は、雨上がりにはすべるので注意! 気をつけないと危険ですよ!

30段あがったところには、ものがたりにでてくる「山寺」という感じの入り口。
木に囲まれているので、夏でも涼しそうなところです。

入り口を抜けると、ああ、また階段が… こんどはさっきより、長いよ…
ほら、こんなに急なんです
ほら、こんなに急なんです
数えてみたら45段ありました
数えてみたら45段ありました
17段ありました
17段ありました
あった!

王禅寺の本堂、らしい建物。

あとちょっと、階段を上ってみよう。

合計92段の階段を上ってたどりついた王禅寺の観音堂。
ここには柿の木はありません。ここにいらっしゃるのはご本尊の聖観音菩薩。


この王禅寺、お寺の言い伝えによれば、孝謙天皇の夢のお告げから麻生郷の光かが谷で聖観音菩薩が掘り出されたことから始まったといわれています。


そして、ここを創建したとき毎夜のように天から星が降り、村人たちから「星降山」と呼ばれるようになり、そこから「星宿山(せいしゅくざん)」となったといわれているそうです。

王禅寺の観音堂
王禅寺の観音堂
ゴジラじゃありません
ゴジラじゃありません
本堂は、観音堂向かって右方。
くるりと回って本堂の正面にきました。観音堂とはうってかわってこちらは、明るい!
なんだか、やっとほっとした感じ… だってここに来るまでけっこうこわかったんだよ…

そして、そして、あったよ! 本堂の前に柿の木が!
草露でびしょびしょになり、無数の蚊にくわれたことも一瞬忘れるうれしさ。
本堂の正面
本堂の正面
これがあの「王禅寺丸柿」だ!
これがあの「王禅寺丸柿」だ!
たわわに実った柿がいっぱい!
たわわに実った柿がいっぱい!

1214年(建保2年)に、勅命を受けた等海上人は、戦乱で消失した本堂を再建するために、良質な材木を求めて山中にはいったところ、赤く熟れた丸柿の実を発見。この丸柿の木を寺の庭に移植したと伝えられています。


そしてこの柿の古木は、その枝を接木して育てられていきました。その後、この柿は「禅寺丸柿」と呼ばれて川崎の特産物になったのだそうです。

そしてこの本堂前の柿の木が、「柿生(かきお)」の地名のおこりとなったといわれている禅寺丸柿の原木(かながわの名木100選)。

柿の木のとなりには、北原白秋(1885~1942)の句碑があり、白秋の自筆による「柿生」の句が刻まれているのですが、石に書かれた文字はほとんど読めず、木の立て札に句が書き記されていました。

柿生ふる 柿生の里
名のみかは 禅寺丸柿
山柿の赤きを 見れば
まつぶさに 秋は闌けたり

北原白秋は、王禅寺の自然をとても愛していたそうで、『王禅寺に想う(昭和10年)』も執筆しています。

すごく美味しそう!
すごく美味しそう!

いつも美味しい甘い実を実らせてくれてありがとう!

表彰させてください!



王禅寺の柿の木のとなりにある「禅寺丸」の像。
柿を守ってくれているのだ!
王禅寺の柿の木のとなりにある「禅寺丸」の像。
柿を守ってくれているのだ!