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技連協活動レポート

技能五輪併催イベント「かわさきものづくりフェスタ」

全国へ川崎のものづくりの魅力をアピール!

提供:川崎市技能職団体連絡協議会
全国から選抜された、23歳以下の青年技能者が様々な分野で技能レベルを競う技能五輪全国大会。第48回大会(10月22日(金)~25日(月))は、神奈川県内9つの会場、全39職種で開催されました
全国から選抜された、23歳以下の青年技能者が様々な分野で技能レベルを競う技能五輪全国大会。第48回大会(10月22日(金)~25日(月))は、神奈川県内9つの会場、全39職種で開催されました
全国へ川﨑のものづくりの魅力をアピール!23歳以下の青年技能者が日本一を競う”職人さんのオリンピック”「第48回技能五輪全国大会」・「第32回全国障害者技能競技大会」(愛称:「技能ルネッサンス! かながわ2010」)が今年神奈川県で初めて開催されました。技能五輪全国大会の会場のひとつとなった「とどろきアリーナ」(川崎市中原区)では、10月23日(土)、川崎市は大会を盛り上げようと、併催イベント「かわさき ものづくりフェスタ」を開催。メインエントランス一帯で川崎市が誇る最高峰の職人「かわさきマイスター」による匠の実演販売・体験・展示をはじめ、技能職団体によるものづくり体験教室、かわさきロボット競技大会バトルエキシビジョン、川崎ものづくりブランド製品の展示、「Buyかわさき」による名産品販売などが行われ、市民をはじめ、全国から大会の応援に来た学生や社会人など大勢の来場者でにぎわいました。「川崎市技能職団体連絡協議会」(技連協)のコーナーを中心に、当日の様子をレポートします。

川崎市技能職団体連絡協議会 ものづくり体験・販売コーナー

衣・食・住の43職種65団体で構成されている「川崎市技能職団体連絡協議会」(技連協)からは、神奈川県和服裁縫協同組合川崎支部、川崎市塗装協会、技連協青年部、川崎市タイル煉瓦工事工業組合、高津・宮前飲食業連合会が参加。技能を生かした体験教室や手作り製品の販売を通し、川崎のものづくりの魅力をおおいにアピールしていました。

神奈川県和服裁縫協同組合川崎支部

神奈川県和服裁縫協同組合は、和服の仕立てやリフォームをしたり、和裁教室を開いている職人さんの組織です。ほとんどが女性ですが、少数ながら男性もいると伺いました。独立するまで10年はかかるといわれる和裁の世界で、川崎支部には20年から最高55年のキャリアを持つ職人さんたちが所属しています。生活スタイルが変わり、和服の仕立てそのものは減っているものの、母親の着物を自分のサイズに直したり、着物を長襦袢や羽織にリフォームするお客さんが増えているそう。「私たちの仕事は、お客さんのニーズに合わせて、小回りが利くところが便利です」とのことです。
吊るし雛(上)は販売も。他にもかわいい小物類がいっぱい
吊るし雛(上)は販売も。他にもかわいい小物類がいっぱい
「ものづくりフェスタ」では、キットを使ってピエロのお手玉人形や吊るし雛を縫ったり、折り紙で着物の雛型を折る体験コーナーを実施。ピエロはとんがり帽とたっぷりした襟が可愛いらしく、ハート形の吊るし雛は中にポプリを詰めれば香り袋にもなります。雛型折りは、バンダナやハンカチにも応用できる折り方で、「贈り物にする時に喜ばれる」そうです。
雛型折りをしたハンカチ(左)
雛型折りをしたハンカチ(左)
「和裁は一切、ミシンを使わず、手縫いが基本です。お子さんが喜ぶような、気軽に縫えるものを用意したので、手で縫うことで、可愛いい小物を作ってほしい」とある組合員さん。その期待通り、次々と子どもたちがやってきました。中には男の子の姿や、ひとりで2つもお手玉を作る女の子も。「教えれば、やっぱりできるのよ」と大ベテランの組合員さんの顔もほころびます。また、和裁の仕事をしていて、技能五輪に出場している先輩の応援にきたという若い女性は、「可愛いから」とピエロ作りを体験。「縫い目がきれいだし、早いわね」と組合員さんに褒められながら縫い上げ、「自宅に飾ります。和裁はできあがった時の達成感が楽しい」と話していました。
和裁の基本は、表裏同じ縫い目に針を運ぶ「運針(うんしん)」。体験コーナーでは木綿針を使いましたが、仕立て仕事では、「仕立屋針」という針穴が小さく、抵抗が少ない専用の針を使います。縫う際には、姿勢を正し、目を針から30センチ以上離して縫うことが大切。ふだんはみなさん、裁ち台に合わせて、正座で作業をしているそうです。「運針ができれば、何でも縫えるようになるわよ」とのこと。

同組合では、こうしたイベントに参加するほか、川崎市と技連協が中学校を対象に実施している体験教室「技能職者に学ぶ」にも協力しており、中学生に和裁を指導しています。ふだんしないだけに、子どもたちはかえって裁縫に興味を持つそうで、「目をきらきらさせて、楽しんでくれます。自分の手で縫って何かを作り上げると、とても喜びますよ」と伺いました。
ピエロのお手玉人形(左)など
ピエロのお手玉人形(左)など
「今は安く、大量に、の海外縫製の時代ですが、手で縫う伝統の着物を絶やしたくない」と、ベテランの組合員さん。和裁の魅力について、ある方は「自分でアレンジできることです。布によって風合いも違うし、縫った人の良さが出るので、既製品にはない、あったかみがあります」と話してくれました。

体験コーナーが人気を集めたほか、夕方までには販売コーナーの手作り小物もほとんどが売れてしまい、組合員さんたちはみな、「参加して良かった」と笑顔。手縫いの楽しさ、手縫い品の魅力が、多くの人に伝わったようです。

川崎市塗装協会

発泡スチロール盤に、大好きなポケモンキャラクターを描く女の子
発泡スチロール盤に、大好きなポケモンキャラクターを描く女の子
“あなたの町のペンキ屋さん”、川崎市塗装協会には、現在、16人の職人が所属し、屋根や壁、塀など建物のあらゆる箇所について、家庭や公共団体などのニーズに応えています。ちなみに、「てくのかわさき」(川崎市高津区)の建物を塗ったのも、同協会の職人さん。

「ものづくりフェスタ」では、キャンペーンを兼ねて、「塗装相談所」を開設。お客さんから建物の状態を聞き取り、塗料や金額の見積もりを出すなどの無料相談を行っていました。一方、子どもたちが大喜びで参加したのが、キットを使った時計作りと、石に絵を描く体験コーナー。手作り時計は、えんぴつで発泡スチロール盤に絵を描いて油性マジックで塗り、文字盤の大きさに合わせて針や電池を取り付けるだけ。子どもたちは用意されたポケモンのキャラクターを参考に、嬉々として絵を描いていました。中には「去年も作ったので2回目」という女の子も。日頃はかわいいアニメキャラクターと縁のなさそうな職人さんたちも、目を細めて、子どもたちに「今、人気のアニメはなあに?」と話しかけていました。

「何を描いてるの?」「コウモリだよ!」
「何を描いてるの?」「コウモリだよ!」
女の子も夢中!
女の子も夢中!
石は、この日のために職人さんたちが多摩川の河原から拾ってきた、ちょうど手のひらにすっぽりおさまるサイズの平たい石で、油性マジックで絵を描き、つや出しスプレーをかけてオリジナルの作品に仕上げます。子どもたちはすべすべした石に自由に絵を描くことが面白いらしく、そばで見ているお母さん方の存在も忘れ、夢中になっていました。作り終えると、「時計も作りたい」とせがむ、創作意欲にあふれた男の子もいました。
あんなちゃんの自信作
あんなちゃんの自信作
「塗装の仕事には看板描きもあるので、絵を描くのも同じということで、体験してもらっています」と会員さん。和服裁縫協同組合と同様、こうしたイベントや中学校での指導に協力しており、中学校ではペンキの種類やローラーの扱い方など基本的なことを教えているそうです。ある職人さんは「今の子どもたちはペンキを塗る機会がないけれど、こうした体験コーナーを通じて塗装に親しんでほしい」と話していました。
こちらは職人さんたちのお手本
こちらは職人さんたちのお手本
一人前になるのに10年はかかる塗装業界。職人の入れ替わりが激しい一方で、ここ数年の就職難が吉に転んだそうです。ある会員さんいわく、「昔に比べて、かなり、なり手が増えてきました。お陰で職人の質も向上しています」とのこと。また、仕事の内容も、大きく様変わりしました。ある職人さんは、「昔は、家一軒建てるというと、必ず塗装職人が呼ばれたけれど、今は工場で塗料を塗った工場製品をマニュアル通りに組み立てて家を建てる時代。新築の仕事が減って、塗り替えがほとんどです。時代に合わせて、10年、20年先のメンテナンスを手掛け、塗り替えで道を拓いていきたい」と展望を語ってくれました。手仕事の良さを伺うと、「真心を込めてやっているところ。自分の家を塗る感覚で、大事に塗らせていただきます」とのことです。

川崎市技能職団体連絡協議会青年部・川崎市タイル煉瓦工事工業組合

技連協青年部と川崎市タイル煉瓦工事工業組合が協力して出展したのが、タイルを使って作品を作る体験教室。丸、三角、四角など様々な形と色のタイルを、専用ボンドを使って10センチ四方のセメント板に自由に張り付け、模様をデザインするという体験です。パステル調のタイルのかわいらしさからか、小さなタイルを組み合わせて模様を作る面白さからか、テントは終日、順番待ちの希望者でいっぱいに。子ども対象とのことでしたが、子どもたちに混じって、お母さん方も夢中になって取り組んでいました。
失敗しないようにという青年部・組合側の心配りで、セメント板はふたつ用意され、参加者はまず、ひとつの板でタイルの並べ方を考え、それを見ながら本番に取りかかります。1回の体験で所要時間は30分から1時間程度ですが、どの子も時間を忘れて没頭していました。作り終えた女の子は、「はじっこにタイルを合わせると、真ん中に隙間が空くのが難しかった。完成して嬉しい」とにっこり。また、カラフルな作品を仕上げた男の子は、「ボンドが手についちゃったけれど、楽しかった。色のバランスがよくなるように作った。机に飾りたい」と話してくれました。
どうやって並べようかな?
どうやって並べようかな?
赤ちゃんとお母さんも
赤ちゃんとお母さんも
組合の方によると、「デザインと、できるだけ隙間が空かないようにタイルを当てはめていくのが難しい」とのこと。それでも、「初めてでも驚くようなものを作る人もいる」といいます。ちなみに、プロは、隙間をタイルの数で割って、長年の経験と勘を頼りに、隙間を均等に空けていきます。タイルは陶器なので、仕事ではタイルを切る際に破片で手を切らないように注意しているそうです。


昔は水回りだけに使われていたタイルですが、今はコンビニエンスストアの床に使われたり、磨耗に強く吸水性が低いという性質とその見栄えを生かし、用途の幅が広がっています。スペースシャトルの外壁も、大気圏で燃えないタイル製。最近は、匂いや湿気を吸う特殊なタイルも発明されたそうです。今後もますます、タイルの需要が広がっていくことが予想され、お話を伺っていても、組合の方の大きな期待を感じました。
上手にできたでしょ?
上手にできたでしょ?
ある組合員さんは、「手作りのものには心に伝わってくるものがあり、それがものづくりのすばらしいところです。まして、タイルは焼き物なので、それ自体がオーラを持っています。焼き物は4000年前に生まれ、何百年も保つ。だから、未来の人へも伝えていけます。他にそういう素材はありません」と、タイルへの強い愛情を込めて語ってくれました。

子どもたちにも十分、タイルの美しさや独特の味わい、手作りの面白さが伝わったのではないでしょうか。

高津・宮前飲食業連合会

会場の一角で一際人気を集めたのは、やはり、食べ物・飲み物のコーナー。手作り、ほかほかの肉まんや焼き鳥を求めて、高津・宮前飲食業連合会のテントの前には、開幕早々から大勢の来場者が行例を作りました。おいしそうな匂いと威勢のいい呼び声に引かれて、列が途切れることはなく、用意した焼き鳥300本、焼そば200食、フランクフルト 100本、肉まん60個、赤飯200食が、12時前にはすべて売り切れるという盛況ぶり。連合会の方は、「プロが作るものなので、お客さんからおいしい、と言ってもらえます」と嬉しそうに話していました。