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かわさきマイスター活動レポート

小学6年生がものづくり体験

マイスターが長沢小で「教室」

提供:川崎市
左から講師のマイスター栗田佐穂子さん、浅水屋甫さん、田中司好さん、仲亀誠一さん
左から講師のマイスター栗田佐穂子さん、浅水屋甫さん、田中司好さん、仲亀誠一さん
川崎市麻生区東百合丘の市立長沢小学校で1月12日、講師として「かわさきマイスター」が招かれて「ものづくり体験教室」が行われました。この「教室」は一昨年、マイスター1人が講師として招かれ始まりました。今年で3度目です。
講師は昨年の「教室」に招かれた広告看板製作の浅水屋甫(あさみずやはじめ)さん、食品サンプル作りの田中司好(たなかしこう)さん、洋菓子士の仲亀誠市(なかかめせいいち)さんと、初参加の洋裁・介護服の研究・開発に尽くしている栗田佐穂子(くりたさほこ)さんの4人です。6年生の児童が約40人ずつに分かれ、浅水屋さん、田中さん、仲亀さん、栗田さんの授業をそれぞれ受けました。児童は講師から卓抜した技術、技能を長年の労苦で身につけた体験談を聞き、その技をみせてもらい、ものづくりの初体験に感動しながら学んでいました。
かわさきマイスターは、技術や技能を多くの人々に知ってもらい、市民の生活を支えている技術、技能の継承や後継者育成めざしての活動をしています。小学校での実演、講演も、その一環として取り組んでいます。

「こんにちは」と児童に迎えられ…

かわさきマイスターの説明資料を<br>見入る児童
かわさきマイスターの説明資料を
見入る児童
災害時の避難訓練後、校長室に帰りヘルメットを置いた大平眞史(おおひらまさし)校長がかわさきマイスター4人を、児童の待つ音楽室へ案内し、4人はピアノを前に教壇に着席しました。司会の教諭が「待ちに待っていたかわさきマイスターの方々が来校してくださいました。この仕事に入ったきっかけや、どんな思いで仕事をしておられるのかを聞き、体験をもとに学んでいきたいと思います」と告げました。
全員が集まり講師に「こんにちわ」<br>とあいさつ
全員が集まり講師に「こんにちわ」
とあいさつ
児童は元気よく大きな声で4人に向かって「こんにちは」とあいさつしました。児童は手にした資料を見ながら、一人ひとり紹介される講師となる4人の顔を見ていました。
その後、児童は4組に分かれ、講師とともにそれぞれの教室に向かいました。各教室には、講師が作ったものや、使用している道具、材料、そして、これまでに携わった仕事の光景を紹介した写真集や書籍が教卓に置かれ、児童を待っていました。

筆の動きを見つめる児童 ―浅水屋さんの広告看板製作教室―

浅水屋さんの手の動き、<br>字をみつめる児童 
浅水屋さんの手の動き、
字をみつめる児童 
黒板に貼り付けた模造紙へ浅水屋さんが体中を使って字を書きます。東日本大震災で改めて人々の結びつきの大切さを痛感させた「絆」をゴシック、今年の干支(えと)である「龍」を楷書の書体で書きました。青や赤、黄、黒を組み合わせての色彩の美しさも見せました。児童はじっと浅水屋さんの動かす筆をみつめていました。その後、児童を教壇に招き、筆を握らせ助言をしながら書く体験もさせました。
人々に「喜ばれる仕事を」と<br>語る浅水屋さん
人々に「喜ばれる仕事を」と
語る浅水屋さん
浅水屋さんは自らの体験談を児童に話しました。中学校卒業後、看板店に住み込んで広告看板製作の技術を覚え、磨いたという内容に、児童は聞き入っていました。
また、浅水屋さんはこれまでに手がけた大きな石油タンクに書いた会社名入りのマークとか店舗の看板づくりなどの仕事の写真も紹介しました。児童にとっては見るもの、聞くもの、すること、全て初めてでした。
浅水屋さんは子どものころから絵を描くこと細かいことが好きで「この仕事をするようになり、好きなことを続けているうちに人からほめていただけるようになりました」と体験を紹介。そして、「お客さんに喜ばれる仕事をすること」を生きがいに励んでいる姿を伝えました。
教壇に児童を招き書き方を<br>教える浅水屋さん
教壇に児童を招き書き方を
教える浅水屋さん
この授業を受けた男子児童は「文字を筆で書く体験をして、字を書くことはむずかしいなと感じました。こんなむずかしい仕事が続けられるのは、やっぱり字を書くのが好きだからだということがわかりました。どんなにむずかしいことでも、続けることの大切さに気づきました」と感想を話していました。
浅水屋さんの連絡先
浅水屋カンバン店


■所在地   幸区南加瀬3-38-40
■電話 / FAX  044-588-9307 / 044-599-0014

■浅水屋さんの詳しい紹介ページはこちら

着やすい服に「すごいな…」   ―栗田さんの洋裁・介護服教室―

片手での着衣の困難さを児童<br>に体験させる栗田さん 
片手での着衣の困難さを児童
に体験させる栗田さん 
まず、片手での服の着脱体験で授業が始まりました。栗田さんは教壇から児童のところへ急ぎ足で近づき、腰を曲げて児童の目に視線を向けて「どう?」と声をかけます。「先生、なかなか着られない」と声が返ってきます。教室内を歩き回り一人ひとりの児童に語りかけます。栗田さんは、おしゃれで、からだを動かすのが不自由な人も着脱しやすく人間の尊厳を守る衣服づくりの大切さを児童に伝えました。
髪飾りを示し、その作り方を<br>説明する栗田さん
髪飾りを示し、その作り方を
説明する栗田さん
授業の後半は、指の動かし方の訓練にもなる2つの実技。女子児童は、人気のある髪を束ね飾る筒状の布にゴムを通し輪にしたシュシュづくり。男子児童は、サッカーで広く知られるようになった手首に巻きつける色彩豊富な刺繍(ししゅう)糸を編んでのミサンガづくり。栗田さんは児童の手をとりながらていねいに、シュシュやミサンガの作り方を教えました。
ミサンカづくりについて助言<br>をする栗田さん
ミサンカづくりについて助言
をする栗田さん
小さいころから教員だった両親にほめられながら手芸をし、洋裁の道に入った栗田さんは登戸ドレスメーカー学院副校長として後継者育成にも力を注いでいます。体当たりで児童に指導をした栗田さんは「からだの不自由な人のための衣服をなぜつくるのかについて重視し授業をしました。みんなが集中してくれて、気持ちよく授業をさせていただきました」と、この日の「教室」を振り返り述べました。出来上がったシュシュを手に女子児童は「からだの不自由な人のために着やすい介護の衣服をつくっておられるのは、すごいなと思いました。私も栗田先生のように人のために役立つことをしたいなと思いました」と授業の感想を話していました。
【栗田さんの連絡先】 
登戸ドレスメーカー学院 アソシエCHACO

■住所:    川崎市多摩区登戸2130-2
        アトラスタワー向ヶ丘遊園2F
■電話/FAX: 044-900-8844 / 044-900-8845
■HP     http://www.a-chaco.com

■栗田さんの詳しい紹介ページはこちら

 「僕も将来この仕事を」と…  ―田中さんの食品サンプル教室―

「食べたい」と児童から声が<br>上がったサンプル
「食べたい」と児童から声が
上がったサンプル
教卓に置いてあるカレーライスのサンプルを包み込むようにして給食室からカレーの匂(にお)いが入ってきます。田中さんが食品サンプルで「天ぷらやキャベツ、レタスをつくるのは原点」と述べ、授業が進みました。
 田中さんは中学校1年生のとき、のり巻きのサンプルを見たのがきっかけで、「親戚(しんせき)の食品サンプル会社に就職しました。食品サンプルづくりの修業をし、どんな食べ物でも本物を見ずに本物のように作れるようになりました。
サンプルづくりの器具使用法を<br>教える田中さん
サンプルづくりの器具使用法を
教える田中さん
田中さんは「いかに美しく見えるか」を追求してきた体験にふれながら、「(食品サンプルに)興味をもって続けてきました。この仕事を続けられたのは(食品サンプルづくりは)むずかしいけれど興味をもって取り組んだからです。こういう人間が食品サンプルをつくっているのだということに興味をもっていただけるとありがたい」と話しました。
 児童はスイーツづくりの体験をしました。田中さんは児童の作業台をまわり、生クリームそっくりのシリコンを搾り出す器具の使い方を助言し、スイーツをつくり喜ぶ児童にあたたかいまなざしを向けていました。
スイーツの作り方を指導する<br>田中さん
スイーツの作り方を指導する
田中さん
男子児童は「むずかしい天ぷらやレタスのサンプルづくりをずっと続けている田中先生はすごいなと思いました。僕もどんなにむずかしいことでも続け、将来、田中先生のように匠の技を身につけ、この仕事を続けるようにしたいと思うようになった」と授業を受けての感想を話していました。
【田中さんの連絡先】
有限会社 つかさサンプル


■所在地      川崎市宮前区水沢3-3-15
■電話    044-976-0828
■HP     http://www.tsukasa-sample.com/

■田中さんの詳しい紹介ページはこちら

「人を幸せにする仕事」学ぶ  ―仲亀さんの洋菓子教室―

児童を調理台の前に集め語り<br>かける仲亀さん
児童を調理台の前に集め語り
かける仲亀さん
「バレンタインデーが近いので、プレゼントで使うチョコレートの菓子をつくりましょう。チョコレートはね、1000年も前からヨーロッパでつくられていました」。仲亀さんは、チョコレートの入った鍋を置いた作業台のまわりに児童を集め、語りかけました。
 仲亀さんが洋菓子に引き付けられたのは中学校を卒業した15歳のときでした。洋菓子店のチーフがつくった「ケーキがとてもおいしかった」のが洋菓子の仕事に入るきっかけになりました。定時制(夜間)高校に通いながら菓子店で働きました。そしてドイツ、オーストリア、スイスなどヨーロッパに行き洋菓子について研究し、技を習得し、磨きました。
チョコレートづくりの説明をする仲亀さん
チョコレートづくりの説明をする仲亀さん
児童は、この体験を聞きながらチョコレートを素材にした洋菓子づくりの体験授業を受けました。
 自分のつくったチョコレートの洋菓子を食べた男子児童は「ものすごくおいしかった。おいしい菓子をつくるため先生は何回もつくり直してきたそうです。先生が人に喜んでもらえる、人を幸せにする思いをこめて仕事をしているのはすごいことです。とても勉強になりました」と授業で学んだことをいいました。
仲亀さんから助言をうけ体験<br>をする児童
仲亀さんから助言をうけ体験
をする児童
仲亀さんは「おいしいものがいっぱいあります。自分で味覚を研究してください。そうすることによって、それが楽しみになると思います。私自身、(授業で)楽しくひとときをすごせました。(私の授業を受けて児童の)みなさんが将来に役立てていただければありがたい…」と児童へ感謝と励ましのことばをおくりました。
【仲亀さんの連絡先】
コンディトライなかがめ


■所在地   多摩区栗谷3-2-13
■電話・FAX  044-954-7612
■HP          http://www.nakagame.net/

■仲亀さんの詳しい紹介ページはこちら

大平眞史校長の話

小学生のうちに、すてきな人に出会い、生き方を学べるようにということで、マイスターの方々に来ていただき授業(ものづくり体験教室)をしてきました。子どもたちは、身近なマイスターの方々がどんな思いでものをつくっているのか、ものづくりを続けてきたのか―その思いにふれ、「あんな大人になりたいな」と夢をもつことができたでしょう。またマイスターの方々の働いている姿をみて、働くことの楽しさや誇り、尊さを感じ取ってくれたと思います。マイスターの方々に改めて授業へのご協力にお礼を申し上げます。ありがとうございました。