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かわさきマイスター活動レポート

2012てくのまつり

かわさきマイスターが川崎市最高峰の「匠(たくみ)」の技を披露

提供:川崎市
かわさきマイスターが2月19日、川崎市高津区溝の口の〝てくのかわさき〟(川崎市生活文化会館)で開かれた「2012てくのまつり」に集結し、川崎市最高峰の「匠(たくみ)」の技を披露しました。
20人余のかわさきマイスターが、製作過程を説明する材料、道具、機械などの展示や、作品・製品の展示、実演をしました。来場者に「ものづくり」体験をしてもらい、その助言や手助けをしたり、技術・技能、製品などの相談にも応じました。来場者は、川崎市が極めて優れた技術、卓越した技能で産業の発展や市民の生活を支える「もの」をつくっている技術・技能職者に認定している、市内最高峰の匠「かわさきマイスター」の技、作品・製品に見入っていました。
かわさきマイスター友の会の大橋明夫会長は、「話しかけてくる人が多く、気持ちのいい出展、実演でした。かわさきマイスターに対して市民のなかで認知されるようになり、期待が高まっているなと感じました。今後も、このような催しに、かわさきマイスターとして出展し、多くの人たちに私たちの仕事、活動を知ってもらうようにしたい」と、てくのまつりに協力しての感想と、今後の抱負を語っていました。

出展者

石渡弘信(いしわたひろのぶ)さん =手描き友禅、高津区在住=
石井一夫(いしいかずお)さん =刃物研ぎ・鋸目立て、多摩区在住=
内海正次(うちみしょうじ)さん =寝具技能士、多摩区在住=
大橋明夫(おおはしあきお)さん =プレス順送・金型設計製作、川崎区在住=
只木角太郎(ただきかくたろう)さん =洋服仕立て<紳士・婦人>、幸区在住=
鍵屋清作(かぎやせいさく)さん =金属ヘラ絞り、川崎区在住=
関戸秀美(せきとひでみ)さん =神社寺院銅板屋根工事、多摩区在住=
若林近男(わかばやしちかお)さん =表具士、幸区在住=
小林伸光(こばやしのぶみつ)さん =和服洗い張り、川崎区在住=、
三上峰緒(みかみみねお)さん =美容師、多摩区在住=
浅水屋甫(あさみずやはじめ)さん =広告看板製作、幸区在住=
流石栄基(さすがえいき)さん =印刷技能士、高津区在勤・相模原市在住=
石塚よし子(いしつかよしこ)さん =洋裁技能士、幸区在住=
■吉田良雄(よしだよしお)さん =靴製造、麻生区在勤、町田市在住=
飯嶋義弘(いいじまよしひろ)さん =時計技能士、川崎区在住=
落合康孝(おちあいやすたか)さん =プリント配線基板製造工・電子回路営業士、高津区在勤・相模原市在住=
仲亀誠市(なかかめせいいち)さん =洋菓子士、多摩区在住=
平賀正明(ひらがまさあき)さん =生産システム<加工・組み立て>の設計・製作、川崎区在住=
久保田宗孝(くぼたむねたか)さん =デザイン彫金士、川崎区在住=
田中司好(たなかしこう)さん =食品サンプル、宮前区在住=
伊藤直義(いとうなおよし)さん =機械設計・製造、高津区在住=
(認定年度順)

60年余前の大置き時計修復を紹介

来場者が会場に入って最初に見入っていたのは、高さ2メートルの振り子式置き時計と、手の平の形をしたアルミで製作した置き時計の土台でした。この置き時計は60年前に作られ時を刻んでいましたが、老朽化で故障したまま、てくのかわさき(川崎市生活文化会館)で所蔵していました。かわさきマイスターの15人が集まって2010(平成22)年4月、「ものづくりプロジェクト」を立ち上げて、置き時計の修復に取り組むことにしました。「ものづくりプロジェクト」最初の事業です。時計技能士の飯嶋義弘さんが時計を修理しましたが、全体はまだ完成していません。議論した結果、土台は、かわさきマイスターのマークをイメージした手の平にしました。振り子は、鮎をモデルにし、その模型を食品サンプルの田中司好さんが作りました。
「ものづくりプロジェクト」リーダーで金型設計・製作の大橋明夫さんは、来場者に置き時計修復の取り組みについて語っていました。「かわさきマイスターが得意の技術・技能を持ち寄って、置き時計の修復に力を注いでいます。来年の『てくのまつり』には完成した置き時計をみなさんに見てもらえるようにしたいと思っています。置き時計の修復を手始めに、マイスターの英知を集め、さまざまな〝ものづくり〟に挑んでいきたいですね」。この置き時計を見ていた中年の男性(高津区)は「いろんな技術を持っているマイスターのチームだから、こんなこと(置き時計修復)ができるのですね。完成を楽しみにしています」と話していました。

出展されたマイスターの紹介

手描き友禅の石渡弘信さん

初めて手描き友禅染めの体験をした高津区の女性(59歳)は石渡弘信さんから「とても品格のいい出来ばえですね」と声をかけられました。その女性は顔を紅潮させ「マイスターの方に教えてもらえ、こんなお言葉までいただいて、すごーく感激しました。ありがとうございました」とお礼の言葉を返しました。石渡さんは手描き友禅染の実演をし、友禅染の良さ、技法を説明しました。また、手描き友禅染体験者の作品仕上げも手助けしました。

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刃物研ぎ・鋸目立ての石井一夫さん

「この日を待っていた」という高津区の高齢女性が新聞紙に包んだ包丁を石井一夫さんのコーナーに持参しました。テーブルには来場者の包丁が並びました。石井さん持ち込まれた刃物をその場で研ぐ実演をしました。「刃がこぼれているのは時間がかかるね」といいながら、マイスターの技を披露しました。出刃包丁を研いでもらった高津区の中年女性は「新品のようにしてもらいました。大事に使います」と石井さんに向かって何度も頭をさげていました。

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寝具技能士の内海正次さん

内海正次さんは、手のひらにのるぐらいのミニュチア布団をつくる実演をしました。細かく早く縫っていく針を見つめる来場者。内海さんは針の動きを休めることなく手作りの布団のよさについて話しました。顧客の要求に応えて安眠できる寝具づくりを追求してきた「匠」の話に来場者は引き込まれていました。中年の女性は内海さんの作った布団を見ながら「マイスターの方が作った布団は一味違いますね」と話していました。

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洋服仕立て(紳士・婦人)の只木角太郎さん

只木角太郎さんは生地から上着分を切った残りで作ったマフラーを持って、てくのまつりにきました。中年の女性がこのマフラーを手にして「とても気に入りました。主人につけてあげたくなった」と話します。マフラーは来場者の視線を集めていました。もちろん、本業の紳士服、婦人服も展示しました。時代とともに進化するデザイン、生地に挑み紳士服、婦人服を世に出してきました。その一端を来場者に見てもらいました。

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金属ヘラ絞りの鍵屋清作さん

鍵屋清作さんは昨年のてくのまつりでは、本業の金属ヘラ絞りの紹介を中心にしていましたが、今年は、都合で会場に来られなかった、他のかわさきマイスターの仕事と展示物の説明や、かわさきマイスターの活動の紹介に力を注いでいました。来場者に、市民の生活に必要なさまざまな「もの」をつくり出している川崎最高峰の技術・技能職者である、かわさきマイスターについて語っていました。

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神社寺院銅板屋根工事の関戸秀美さん

関戸秀美さんは迎賓館赤坂離宮や鶴ヶ岡八幡宮はじめ全国各地の神社、仏閣、宮殿の修理改修をしてきました。建築関係の伝統技術伝承にも尽くしています。関戸さんは、これまでに金槌をたたいて美しい曲線で仕上げた銅板屋根、屋根の飾りはじめ、数々の作品を展示し、来場者へ自身の仕事について話しました。また、来場者の銅板屋根工事などについての相談に応じました。

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表具士の若林近男さん

修復した屏風、掛け軸を展示したコーナーで若林近男さんが「これも見て」と来場者に差し出したのは和紙の手作り封筒でした。便りをもらった人が、温かな気分になるだろうなと思わせる封筒です。若林さんは、表具士の仕事で高度な技能、経験が必要な傷んだ屏風や掛け軸、襖(ふすま)の修復について来場者に説明をしました。若林さんは修復についての質問ひとつひとつに、丁寧に答えていました。

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和服洗い張りの小林伸光さん

和服の洗い張りは、長年着た和服をほどき、汚れを取り除き、新しいものと同じように生地を蘇(よみがえ)らせます。小林伸光さんは「持ち込まれたものを元より何倍もよくしなければ」の思いで、高級和服の洗い張り「伸子(しんし)張り」をしてきました。小林さんの実演を見ていた中年の女性が「(伸子張りで)新しいのと同じようになるのね。私の着物を小林さんに洗い張り(伸子張り)をしてもらおうかな」と話していました。

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美容師の三上峰緒さん

美容師の三上峰緒さんのコーナーを通りかかった女性たちが「まあ、きれい」といい、立ち止まりました。中には三上さんの隣りに座り込む女性もいました。ヘアスタイル「夢のある編み込み」は来場者の目を引き付けます。「題を考えて1年がかりで作るのよ」と来場者にヘアスタイルの仕事ぶりを語りながら、10本の水引を使い、慶弔などの色を組み合わせて「十編み」花作りを実演。女性たちが「私も作ってみたい」と三上さんにいい、水引を手にしていました。

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広告看板製作の浅水屋甫さん

いろんな字体で手描き表札の実演をする浅水屋甫さん。中年の男性が、厚い木の板の上を動く筆を見つめます。浅水屋さんは黙々と一字一字、板に書き込みます。看板屋に住み込んで修業し広告看板製作の技を磨いてきた浅水屋さんは筆1本で仕事を積み重ねてきました。浅水屋さんは「私がしているような仕事が川崎にあるのを知ってもらいたい」ということで昨年に続き、てくのまつりに参加されました。

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印刷技能士の流石栄基さん

印刷で色の再現で卓越した技能者の流石栄基さんは、高精細印刷によるマンセル100色相環の再現、図録の展示をし、来場者の印刷についての相談に応じました。カラー印刷はCMYKという藍、赤、黄、黒の4色を組み合わせた網点でします。発注者の指定色で再現する画集や写真集など印刷は、高度な技術が求められます。流石さんは手がけた印刷物も来場者に見てもらいながら、印刷について説明をしました。

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時計技能士の飯嶋義弘さん

飯嶋義弘さんは複雑な時計の構造を把握し、的確に素早く故障箇所を見つけ出し、破損・磨耗した部品を交換するなどして再び時を刻む時計に再生します。飯嶋さんは分解した時計の部品、時計の分解、組み立てで使用する道具、機器をコーナーに並べ、来場者の質問に答えました。展示品を見ていた中年の男性は「故障したら修理して使うということから、『もの』を大切に使うことを改めて教えられました」と話していました。

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生産システムの設計・製作の平賀正明さん

同じものを大量に効率よく高度な製品をつくり出すには、生産システムの設計・製作が必要です。平賀正明さんは、卓越した生産システム(加工、組み立て)の設計・製作で発注者の要求に応えています。てくのまつりに、平賀さんはアルミ押し出し材を加工してつくる機器の部品のサンプルなどを出展し、生産システムづくりの重要さを来場者に伝え、来場の疑問に答えていました。

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デザイン彫り金士の久保田宗孝さん

久保田宗孝さんはジュエリー(宝石や貴金属でつくった装身具)作業の実演や、来場者のシルバーリング(指輪)づくり体験をしました。高津区の女性(37歳)が女児(7歳)と一緒に訪ねてきました。女児が「パパの誕生日祝いにリングを贈りたい」と言い、作業台の前に座りました。久保田さんが女児の手をとりながらリングづくりをサポートしました。女児は完成したリングを手のひらにのせ「楽しかった」といっていました。

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食品サンプルの田中司好さん

田中司好さんが高津区の女の子(8歳)の手をとってレタス作りを始めました。約40度の湯に黄緑のろうを流し込み、それを手ですくい、軽く握り締めます。丸くなると、包丁で端から切ると葉を切ったレタスそっくりのものが現れました。田中さんが「世界にひとつしかないレタスだよ」といいました。女の子は「やったー」と喜びの声をあげました。来場者は、エビの天ぷらなどサンプルを作る田中さんの技に見入っていました。

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作品展示マイスター

洋裁技能士の石塚よし子さん

創意工夫を凝らしデザインし、つくりあげた婦人服を出展。

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靴製造の吉田良雄さん

自身が作ったフィギュアスケート靴で世界を舞台に活躍している選手の靴型を展示。

プリント配線基板製造工の落合康孝さん

植物育成LED照明や高速道路トンネル照明用のLED基板などを出展。

落合さんの詳しい紹介ページはこちら

機械設計・製造の伊藤直義さん

自身が作ったシャボン玉発生器を出展し子どもの人気を集める。

伊藤直義さんの詳しい紹介ページはこちら