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かわさきマイスター活動レポート

かなテクカレッジものづくり実演

提供:川崎市

かわさきマイスターによる 金属へら絞り加工の実演と体験

会場となった、東部総合職業技術校
会場となった、東部総合職業技術校
平成21年12月17日(木)午後、神奈川県立東部総合職業技術校(愛称 かなテクカレッジ)に、かわさきマイスター 鍵屋清作さん をお迎えして「金属へら絞りの加工の実演と体験」教室が行われました。
参加されたのは、東部総合職業技術校と県立鶴見総合高校の生徒さん約150名。
1グループ10名~20名に分かれて、鍵屋さんのお話を聞き、実演を見学し、体験をしました。
 
※神奈川県立東部総合職業技術校は、工業技術、社会サービス、建築技術の各分野の訓練を実施する大規模総合校です。

■神奈川県立東部総合職業技術校(愛称 かなテクカレッジ)
住所: 横浜市鶴見区寛政町28番2号
電話番号: 045-504-2800
URL: http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/06/1467/index.html

講師・鍵屋清作さんのご紹介(平成12年度かわさきマイスター認定)

鍵屋清作さん(旋盤の機械を前にして)
鍵屋清作さん(旋盤の機械を前にして)
 鍵屋清作さんは、金属のへら絞り加工の名人です。へら絞りとは、金属の円盤を回転させ、へら棒を円盤にあてて中心から周辺へと移動させて円錐や球形に近い形に加工することであり、シャープペンシルの先にある芯を送り出す微細な部品、ロケット・戦闘機の先端部分の部品まで、幅広いニーズがあります。へら棒による加圧の程度や加圧点の位置に計測値はなく、へら棒を腰にかかえている腕力の加減や体の移動の具合で、微妙に調整し、ムラなく図面どおりの寸法に仕上げていきます。
 小さな製品や比較的単純な形の量産品なら工作機械にて自動的に製造できます。しかし、大きな製品や少量かつ複雑な形の場合は、鍵屋さんの約50年にわたって蓄積された経験と技術が不可欠です。卓越した技術を基に、日本の工業を支えてきた熟練した職人です。

■勤務先:今野工業株式会社
住所: 川崎市高津区下野毛2丁目14番18号
電話番号: 044-811-7204~5
FAX: 044-811-6057
URL:http://herashibori.com/
かわさきマイスターとは?
 川崎市では、極めて優れた技術・技能を持っており、市民生活を支える現役の技術・技能職者を「かわさきマイスター」として認定し、卓越した「匠」の技術の錬磨、その技の次代への継承などの活動を支援しています。

鍵屋さんに聞きました。

職人になって長く続けるには?

まず、物づくりが好きな事。一人前になるまでの何年か我慢できること。
そして言われたことをやるだけでなく、自分で考え、先輩の仕事を見て、工夫を出来ることが大事です。
50年以上続けてきましたが、やめたくなったこともありましたよ。
速く正確に製品が出来ると安くできる、そうするとお客さんも嬉しいし自分も嬉しい。この喜びがあったから長く続けられたのかもしれません。
今日の体験も、ものづくりの楽しさを味わって、将来“へら絞り”だけでなく職人の道へ進んで行くきっかけにでもなれば嬉しいです。

金属へら絞りの実演・体験教室

手に持っているのが加工前の金属、<br>赤丸で囲ってあるのが、完成品。
手に持っているのが加工前の金属、
赤丸で囲ってあるのが、完成品。
会場となったのは機械加工実習場。
旋盤の機械の前に集まった所で、金属へら絞りについてわかりやすく説明を。

本来は平らな金属板から絞る作業をしますが、今日は扱いやすいように丸くへこみを作ったものを準備してくださいました。
 
金属の板を丸く切り抜く。<br>へら絞り加工をすると一番右のように仕上がる。
金属の板を丸く切り抜く。
へら絞り加工をすると一番右のように仕上がる。
へら絞り加工で出来た製品の数々<br>ビアマグカップ・ナベ・ボール等々
へら絞り加工で出来た製品の数々
ビアマグカップ・ナベ・ボール等々
へら絞りの実演。<br>丸い平らな金属板にへら棒をあて、木型(金型の場合もある)に合わせてしぼっていきます。
へら絞りの実演。
丸い平らな金属板にへら棒をあて、木型(金型の場合もある)に合わせてしぼっていきます。
真剣な様子で見学しています。
真剣な様子で見学しています。
実演が終わったら、希望者の体験へ。<br>へら棒を脇にしっかり挟み円盤にあてて形を作っていきます。はじめは鍵屋さんが後ろからへら棒の位置を固定し一緒にあてます。<br>
実演が終わったら、希望者の体験へ。
へら棒を脇にしっかり挟み円盤にあてて形を作っていきます。はじめは鍵屋さんが後ろからへら棒の位置を固定し一緒にあてます。
こつをつかんだら生徒さん1人で。<br>さすが、職業技術校の生徒さん。<br>飲み込みが早い!
こつをつかんだら生徒さん1人で。
さすが、職業技術校の生徒さん。
飲み込みが早い!
自分で加工した製品をプレゼントされ、<br>喜ぶ生徒さん
自分で加工した製品をプレゼントされ、
喜ぶ生徒さん
最後の仕上げは、鍵屋さんが少し手を加え完成。
出来た製品は、体験した生徒さんへの記念品に鍵屋さんからプレゼント。

高校生もチャレンジしました。

高校生の皆さんは、将来の自分を描くのはこれからという事で、最初は「何だろう?」と見ている様子が見られました。しかし、金属板が製品になっていくにつれて興味がわいたようで、たくさんの生徒さんが体験していました。
実演をたくさん経験している鍵屋さんならではの話術で会話も盛り上がり、楽しい雰囲気の中での体験となりました。
真剣な面持ちで実演を見学。
真剣な面持ちで実演を見学。
高校生も体験しました。
高校生も体験しました。
女子高生もがんばる!
女子高生もがんばる!
完成品は記念にプレゼント。
完成品は記念にプレゼント。

鍵屋さんから県立鶴見総合高校の生徒さんへ挨拶の言葉

実演・体験教室が終わり、<br>挨拶をする鍵屋さん
実演・体験教室が終わり、
挨拶をする鍵屋さん
実演をやって一番うれしいことは皆さんに参加していただくことです。
今日は、たくさんのみなさんに体験していただけたのでとても良かったです。
作品は、今日の記念にしてください。
今後、へら絞りという言葉を聞いたら、こんな仕事もあったんだな、と思い出してください。

生徒さんからは、元気のいい「ありがとうございました」と盛大な拍手が贈られました。

体験した生徒さんの感想

<職業技術校生>
○最初の所が難しい。それと一定の速度で動かすのも難しかった。作品が出来たのはとてもうれしい。学校でもなかなか体験できないので、本当に貴重な体験が出来ました。
○学校の実習でも、へら絞りはあまり体験できない物なので、体験出来てよかった。
○高度な職人技を見ることが出来、指導もしていただけた。今後もこんな体験が出来るといいと思う。

<鶴見総合高校生>
○先生とヘラ棒を一緒に扱っているときは良かったが、1人でやるときはあせりました。力もいりますが、力よりも頭を使うそうです。
○楽しかった。見ているとすごく難しく見えたが、やってみたら出来ました。(自分ではなかなかうまく出来たと思う)
○物を作るのは好きなので、体験も楽しかった。でも、仕事としてはまだわかりません。

準備から終了まで5時間以上。
鍵屋さんはひと時も休むことなく動いていました。
職人として第一線で続けて行くには、知力・技術そして何より体力が必要となってくることが良くわかりました。
そして教室が始まると、話術も素晴らしいことに気が付きました。
職業技術校生に対する説明、高校生に対する説明。それぞれにあわせて、わかりやすく、興味を持ってもらえるように工夫されていました。
はじめは興味なさそうにしていた生徒さんたちも、時間が経つにつれてどんどん引き込まれていくのがわかりました。
そして、実演が終わると、多数の生徒さんが体験を希望し、自分で加工した作品を持って嬉しそうに帰って行きました。