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かわさきマイスター活動レポート

「かわさきマイスター匠展」2日目レポート

息を呑むマイスターの熟練技に、2日目の実演コーナーも大盛況!! 

提供:川崎市
来場者で賑わう2日目。見事な匠の技を間近で見ることができるのも「匠展」の醍醐味です
来場者で賑わう2日目。見事な匠の技を間近で見ることができるのも「匠展」の醍醐味です
 極めて優れた技術・技能を発揮して、市民生活を支えている方を対象に、川崎市が認定した「かわさきマイスター」の一流の技を間近で見ることができる「かわさきマイスター『匠展(たくみてん)』」が、8月31日(水)~9月2日(金)の3日間、10時~15時まで多摩区総合庁舎1階アトリウムにて開催されました。

 9月1日(木)に開催された第2日目は、5人のマイスターが実演を披露。また、展示スペースに出展していた2名のマイスターも会場に駆けつけ技術の説明を行いました。総合庁舎を訪れた来場者は、川崎市の産業を支えている「かわさきマイスター」に対するさらなる理解を深める良い機会となりました。
 参加されたマイスターは、下記の通り。※五十音順。( )内は名前読み仮名、認定年度、職種となります。

【実演】
・浅水屋 甫さん (あさみずやはじめ、平成16年度、広告看板製作)
・久保田 宗孝さん (くぼたむねたか、平成21年度、デザイン彫金士)
・栗田 佐穂子さん (くりたさほこ、平成14年度、洋裁・介護服)
・田中 司好さん (たなかしこう、平成21年度、食品サンプル)
・三上 峰緒さん (みかみみねお、平成14年度、美容師)

【展示】
・竹内 三郎さん (たけうちさぶろう、平成17年度、円筒研削技能士)
・畑 幸男さん (はたゆきお、平成16年度、食肉加工士)

2日目の午後には、川崎市立登戸小学校4年生の児童が来場。マイスターの技術を見学しました
2日目の午後には、川崎市立登戸小学校4年生の児童が来場。マイスターの技術を見学しました
また、この日の午後には川崎市立登戸小学校の小学4年生約170人が訪れ、会場内を班ごとに分かれて見学。マイスター達の技術や展示コーナーを順番に見て回り、それぞれのマイスターが披露する技術や知識に歓声をあげていました。限られた時間内で200人近い子ども達が全てのコーナーを見学するために、1コーナーを約10分ほど見学して次のコーナーへ移動する方法がとられましたが、大きな混乱もなく無事に見学が終了しました。

たくさんの子ども達と触れ合いながら、自身が修行し長い年月をかけて磨き上げてきた仕事について丁寧にわかりやすく伝えるマイスター達。そんなマイスター達の説明にしっかりと耳を傾け、彼らの本物の技術を目の当たりにした子ども達からあがる感嘆の声が会場を満たし、とても賑やかな午後のひとときとなりました。

■1日目、3日目の様子はこちらでご覧いただけます。
 マイスター匠展 1日目
 マイスター匠展 3日目

■実演

浅水屋 甫さん(広告看板製作)――手書き表札作り、模造紙に揮毫(きごう)

匠の見事な筆さばきに見物人も思わず息を止めて見守ります
匠の見事な筆さばきに見物人も思わず息を止めて見守ります
浅水屋さんは、広告看板を手がけるマイスター。店舗の看板はもちろん、小さな看板から石油プラントのタンクの壁面、ポスターに至るまで、さまざまな場所に掲げる看板を飾る文字や絵を手作業で仕上げていきます。コンピューターが主流となっている今、浅水屋さんの“筆一本さえあればどんな書体でも書ける”というその技術は、まさに看板業の「匠」の技。優れたバランス感覚とデザインセンスという持ち前の資質もさることながら、60年という長い歳月をかけて積み上げられた経験の豊富さが技術に磨きをかけています。

実演では、表札板に浅水屋さんが手書きで文字入れをしてくれる「手書き表札作り」を披露、通常約7,000円の表札を2,000円というお値打ち価格で販売し、多くの方に喜ばれました。
明朝体・楷書体・丸ゴシック体・隷書体など、比較的ポピュラーな書体から寄席文字やかんてい流などの個性的な書体まで、多少の文字ならフリーハンドで仕上げていくという浅水屋さん。当日は、そんな浅水屋さんが今回の「匠展」に参加することをインターネットのホームページで知った方が長野県から駆けつけ、表札を依頼する場面もありました。
小学生のリクエストに応え、模造紙に揮毫する匠の技に子ども達も圧倒
小学生のリクエストに応え、模造紙に揮毫する匠の技に子ども達も圧倒
午後には、「匠展」の見学に訪れた川崎市立登戸小学校の4年生の子ども達に、好きな言葉をリクエストしてもらい、その文字を模造紙に揮毫する実演も披露。子ども達は、浅水屋さんが真剣に模造紙と向き合い、下書きをすることなく文字を書き始めると、息を呑むように見守り、そして絶妙なバランスで模造紙いっぱいに自分達がリクエストした文字が書き上げられると大きな歓声をあげました。一気に文字を仕上げる匠の筆さばき、紙に向き合う真剣な匠の表情を間近で見ることができた今回の経験は、子ども達にとって何より貴重な経験になったことだと思います。

★浅水屋さんのより詳しい情報はコチラ

久保田 宗孝さん(デザイン彫金士)―加工実演、写真とフォトフレームによる作品紹介

指輪の修理などもその場で丁寧に応じてくれます
指輪の修理などもその場で丁寧に応じてくれます
久保田さんは、手作りジュエリーのマイスター。デザインの考案、金・銀・プラチナといった各種材料の溶解や分析、地金作成、組み立て(加工までをたった一人で行い、世界に一つしかない宝飾品・時計といった装飾品を作ることができるデザイン彫金士として、様々な作品を生み出しているほか、お客様の要望に応じたオーダーメイドのジュエリーの製作等も行っています。また、「手作りジュエリーを自分で作ってみたい!」という方への指導にも熱心に対応。自身の工房で手作り教室を開催し、その匠の技を伝授しています。

匠展では、来場者のジュエリーの修理や加工を受け付けたほか、これまで自身が製作した様々なジュエリー等を写真やフォトフレームを使っての展示も行われました。また、その作品の一部を持参し、興味のある来場者は直接触れて見ることもできました。花やイルカ、蟻やかまきりといった様々なモチーフが、細部まで精巧かつ繊細に表現されたデザインに、かなりの大きさの宝石が鎮座したジュエリー(百貨店では数百万円で販売される代物だそうです)を間近で見る機会はなかなかありません。訪れた来場者は、そんな匠の技がいっぱいつまったジュエリーを自分の身につけてみるなど、貴重な体験を楽しんでいました。
即興でデザインを興し、出来上がったジュエリー
即興でデザインを興し、出来上がったジュエリー
久保田さんの作品。ひまわりに蜂などがとまっている精巧な逸品
久保田さんの作品。ひまわりに蜂などがとまっている精巧な逸品
きつくなった結婚指輪を自分で切ってしまい、その修理をお願いした女性は、修理を待つ間、作業をする久保田さんとのジュエリー談義に花が咲き、天然石を使った指輪も注文。「もともと石が大好きなので、せっかくの機会なのでお願いしました。作品も拝見しましたが、どれも素晴らしいものでしたし、石に合わせたすてきなデザインを考えてくださるそうなので本当に楽しみです」と嬉しそうに語ってくださいました。その後、石を見ながらデザインが決定。超特急で仕上げた指輪が、翌日、女性に手渡されました。コレだけのスピードで仕上がるのも一人で全工程を行う匠ならでは。指輪を受け取った女性は「期待以上の仕上がりで大満足です。お願いしてよかった」と笑顔で答えてくださいました。

★久保田さんのより詳しい情報はコチラ

■ジュエリークボタのホームページ
http://www.jk-craft.co.jp/

栗田 佐穂子さん(洋裁・介護服)――小物入れ・シュシュ講習会、ユニバーサルデザインの作品紹介

子ども達に自身の作品にこめた想いを説明する栗田さん
子ども達に自身の作品にこめた想いを説明する栗田さん
栗田さんは、熟練した縫製・仕立ての技能を駆使し、全ての人にとっておしゃれで着やすい洋服「ユニバーサルファッション」の研究開発・普及に情熱を注ぐマイスター。専門学校等で服飾全般についての教鞭をとるかたわら、本の執筆・マスコミ出演・ファッションショーの開催などを通し、「ユニバーサルファッション」をより多くの人に知ってもらえるよう、様々な活動を行っています。ボランティア団体「糸の詩」も主宰、高齢者施設やリハビリ施設、肢体不自由児者保護者の会などとの交流を行いながら、「ユニバーサルファッション」の理念を元に、既製服を着やすく直すアイデアを講習や、障害に応じたより着やすい服の研究などにも取り組んでいます。

2日目、栗田さんのコーナーには、無料で正方形の布で簡単にすぐ出来る便利でおしゃれな布巾着を作ったり、毛糸を使ってカギ編みを繰り返してすてきなシュシュを作る体験スペースが設けられました。栗田さんやアソシエCHACOのスタッフや登戸ドレスメーカー学院の先生方のアドバイスを受け、多くの方が楽しみながら作品を作っていました。巾着を作った方は「あんまりにも簡単に出来たのでびっくりしました。楽しくできたのでついでにシュシュも作っていこうと思います」と自分で仕上げた巾着を笑顔で見せてくれました。
小物入れやシュシュを無料で手作りできるコーナーも大盛況でした
小物入れやシュシュを無料で手作りできるコーナーも大盛況でした
栗田さんによる実演は2日目だけでしたが、初日から最終日の3日間は、「介護エプロン」や「車イス用レインフットカバー」などこれまで製作した様々な作品や、市内の小中学校で実施した傘の布地を使って手作り介護グッズを作るプロジェクトの作業風景をまとめたレポートなどが展示され、その展示にも多くの人が足をとめ、見入っていました。
展示された作品をじっくり見ていた60代の男性は「こういうファッションがあることを知りませんでした。親や、自分達に介護が必要となったとき、上手に取り入れていきたいなと思います」と感想を語っていました。

★栗田さんのより詳しい情報はコチラ

■アソシエCHACOのホームページ
http://www.a-chaco.com/

田中 司好さん(食品サンプル)―食品サンプル製作実演・食品サンプルストラップ製作体験、作品紹介

見物客の希望に応えて、食品サンプルの作り方を指導する田中さん
見物客の希望に応えて、食品サンプルの作り方を指導する田中さん
田中さんは、レストラン等で料理や素材の見本として飾られる「食品サンプル作り」のマイスター。「食品サンプル」は、塩化ビニールなどの材料に熱を加え成型したものに着色を施して作られるのですが、田中さんは見本となる本物を見ることなく、その色や形を正確に再現できる技術と、見た人の食欲や購買意欲を高める魅力あるサンプルを作ることができるという、そのセンスが高い評価を得ています。近年は、その高度な職人技を紹介しようと、マスコミをはじめ、各種メディアから多くの取材は後を絶たず、注目を集めています。

今回、「匠展」への参加は初となる田中さんでしたが、様々な場所で講義・実演をされていることもあるせいか、手早く準備を整えると、通りかかったお客さんに積極的に声をかけて早速実演を開始。お湯のはられた鍋にサンプルの材料となるロウを流し入れると、あっという間に「レタス」が完成。出来上がったものにナイフを入れてみせると、その断面もまさしく「レタス」。お客さんに手渡し、実際に出来たてのサンプルをさわってもらうと「あったかい。こんなに近くで見ても本当に茹でたレタスみたーい!!」と歓声があがりました。レタスの感動も冷めやらぬうちに、次は海老天ぷらの実演です。お湯の中に薄い黄色のロウを高い位置から流し入れ、衣を準備。その上に海老のパーツをのせ、くるりと返すと、カラリと揚がった本物そっくりの海老天ぷらが完成!!見物客からは「美味しそう」のため息がもれました。
子どもはもちろん、大人も楽しく食品サンプルの世界に触れました
子どもはもちろん、大人も楽しく食品サンプルの世界に触れました
このほかには、食品サンプルストラップの製作体験(800円)コーナーも設けられ、体験者はタルトやマカロンのベースパーツに樹脂でできた生クリームをのせ、果物等の飾りパーツの盛り付けを楽しみました。また、実演スペースの横にはこれまでに制作された作品も展示され、色とりどりの食材や美味しそうな料理がずらりと並び、来場者の視線を集めていました。

★田中さんのより詳しい情報はコチラ

■食品サンプルのつかさサンプルのホームページ
http://www.tsukasa-sample.com/

三上 峰緒さん(美容師)―「夢のある編みこみ」作品紹介

見学にきた小学生達に作品の説明をする三上さん
見学にきた小学生達に作品の説明をする三上さん
三上さんは、日本古来の礼法をルーツに複雑かつ芸術的な編みこみ技術を使ったヘアスタイル「夢のある編み込み」を草案した美容師界のマイスター。卓越した技術とその類稀なるセンスによって生み出されたヘアスタイルは、芸術の域に達しています。「夢のある編み込み」は、髪を10の束に分けて編み込む十編み(とあみ)などを使い完成させるヘアスタイルです。その技術を学ぶために、全国各地で研究会が開催され、三上さんはその講師を務めるなど、これまでにも多くの美容師を育てあげてきました。また、中国からの招聘を受けて、数十回に及ぶヘアーショーを開催するなど、日中美容交流にも多大に貢献しています。

 匠展では、そんな三上さんの「夢のある編み込み」が施された作品8点を展示。十編みを使い、美しくカラーリングした髪の毛で作られた立体的な「花」がデザインされた華やかで斬新なヘアスタイルに、来場者の多くが足をとめ「こんな髪型見たことない。すてきですね」と感想を述べるほど視線を集めていました。展示された作品は、創作作品として生まれたファンタジックなものや、実用的なアレンジが施されたものまで、それぞれ個性ある作品。その一つ一つに「テーマ」と「タイトル」がつけられており、見物客はその華麗な技術の粋がつまった作品を熱心に見入っていました。
見物客の要望に応え、即興で帯止めの講習会も開かれました
見物客の要望に応え、即興で帯止めの講習会も開かれました
また、組みひもに関する知識も豊富な三上さんに来場者から「帯止めのやり方がいつもよくわからなくなってしまって…」と相談が寄せられると「基本的にはお祝いのときは、喜びなので上向き。弔辞のときは悲しいから下向きになる、と覚えておけば大丈夫」と、何度も実演をしてみせ、丁寧に答えていました。質問した来場者は「何度も丁寧に教えてくださったので理解できました。質問してよかった」と、とても喜んでいらっしゃいました。

★三上さんのより詳しい情報はコチラ

■展示

竹内 三郎さん(円筒研削技能士)―微細精密加工の工具、部品の展示

小学生に説明をする竹内さん
小学生に説明をする竹内さん
竹内さんが扱うのはミクロの世界の工具たち
竹内さんが扱うのはミクロの世界の工具たち
竹内さんは、スーパーコンピューターやノートパソコン、車の排気ガスフィルター用の部品を作るための金型など、超硬合金や鋼鉄などを使い超精密加工品を作るマイスター。会場には3日間を通して、「スーパーコンピューター」の基盤の型となるセラミックとそのセラミックに穴を開けるためのパンチ(工具)等が展示されました。

地球規模の環境変動の解明・予測を行うこと等を目的に開発された“スーパーコンピューター”で使われる基盤は、40cm四方の1枚のセラミック板に超極細ピンで10万個、髪の毛のような細さの直径90ミクロンの穴をパンチで空けたものが型となります。90ミクロンの穴をズレなく確実に10万個開けるには、穴を開ける“針”とその針を受ける“台”が2つセットとなった工具(パンチ)が必要不可欠です。そして、その針を受ける“台”が寸分の狂いなく“針”を受けられるようにするための最後の仕上げは、手作業で行われています。「ダイヤモンドのペーストをつけた糸で手作業で磨きますが、1日に100個作るのが限界。でも、それはまだ多い方です。中には1日に2個仕上げるのが限界な部品もあります」と、展示品について丁寧に説明する竹内さん。その説明を聞き、改めて日本の技術力の高さに感銘を受ける来場者や見学に訪れた小学生の姿はとても印象的で、演算速度で今年世界1位に返り咲いた「スーパーコンピューター」の性能は、マイスターのこうした職人技によって支えられていることを知る良い機会になりました。

★竹内さんのより詳しい情報はコチラ

■角丸金属有限会社のホームページ
http://www.kakumaru-kinzoku.co.jp/

畑 幸男さん(食肉加工士)―ドイツ・オランダ食肉加工品コンテスト金賞などの展示

レンジスペースにはメダルや賞状がずらり
レンジスペースにはメダルや賞状がずらり
興味津々の子ども達に丁寧に説明する畑さん
興味津々の子ども達に丁寧に説明する畑さん
畑さんは、食肉加工のマイスター。もともとお肉屋さんを営んでいた経験を生かし、1頭の豚肉を全て使いきるドイツ製法を学び、様々な種類のハムやソーセージ製品を生産しています。その製品の美味しさは、本場ドイツやオランダで高く評価され、国際コンテストで何度も金賞を受賞するなどの実績を上げています。展示では、これらの食肉加工コンテストで受賞した金メダルや賞状などを3日間展示したほか、ソーセージ作りの工程を写真で説明しました。

本格的な製法をより極めるためにドイツ製の機械をいち早く導入し、材料を練り、ボイルし、焼くというシンプルな工程に日々磨きをかける畑さんのものづくりに対する真摯な姿勢はとどまることを知らず、現在も新しい製品の開発にその情熱が注がれています。そんな情熱あふれる畑さんだからこそ、工程を説明しながら「にんじん、レモン、パセリの入ったウインナーは、あっさりスッキリして美味しいですよ。おススメです」と、笑顔で話すその言葉には説得力があり、来場者の方には、工程を説明する写真に写った美味しそうなソーセージを眺めて「美味しそう!!」と声をあげる方も多く、「ここでも売っていればいいのに」という声も聞こえてくるほどでした。また、見学に訪れた小学生達も、自分達が大好きなウインナーやハムがどのように作られるのかを熱心に聞き、飾られたメダルの数々を目の当たりにし「世界でこんなに高い評価を得ている職人さんが自分達の街にいるなんて、すごい!!」と、少し興奮気味に語る子もいました。

★畑さんのより詳しい情報はコチラ