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かわさきマイスター紹介

生産システム(加工・組立)の設計  平賀 正明さん

治工具製作などに優れた技能・技術を発揮

本日お話を伺った平賀正明さんは、生産システムの設計・製作で平成20年度のかわさきマイスターに認定されました。注文の製品を生産ラインに乗せるにあたっては、注文先からの図面を見て誰が作業してもより効率的に生産するための治具や自動機を作っていく必要があります。その際、平賀さんの治工具製作などの優れた技能・技術が発揮されます。
プロフィール
平賀 正明(ひらが まさあき)さん

長野県駒ヶ根市出身。地元工業高校の機械科を出た後、埼玉県の自動車関係会社に就職したが、1年半後に現在勤める㈱クレールの前身、清水精器に入社。入社当時はトラックでの製品配達や営業を。会社がマニシングセンター(金属などを削り必要な形に仕上げる機械)を導入する際に、その担当にまわしてもらい、それが技術分野での出発点となる。以来、30年にわたり同社の生産システム開発の中心となって技術に磨きをかけてきた。
これは、平賀さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

平賀さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

小さいころからものをいじるのが好きで高校も地元工業高校の機械科を選びました。当時は機械科が主流で今なら電子などを選考したかも知れませんが。高校を卒業するとこちらに出てきて自動車関係の会社に勤めましたが、昼夜のシフト制で体力的にもきつく、自分も機械の一部になったような環境でした。体を壊したのをきっかけに田舎に帰ろうと思っていた時、縁戚関係にあった清水精器に入らないかという話があり入社しました。営業から始めましたが、まったく新しい機械を導入する際にその担当にしてもらったのが技術部門の出発点です。もう30年くらいたちますかね。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか?

製品を効率よく生産するために平賀さんは常に機械を改善しています。
製品を効率よく生産するために平賀さんは常に機械を改善しています。
手探りでやって来たところに面白さはあります。最近はメーカーの代理店の人がときどき寄ってくれて相談にのってくれますが、以前は秋葉原の部品店まわりをしてそこでいろいろ聞き自分で探し出してきて使うということをしていました。例えば、配線や回路をそれで組んで行くわけですが、最初はなかなか思うようにいかない。試行錯誤しながら直していって最後ドンピシャとなった時の醍醐味は格別です。実際の工程で1時間でこれくらいできるだろうという予想を超えて数がこなしていければ、なお一層の喜びです。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?

自分に合っていたということが第一ですが、会社にある程度自由にさせていただいたということも大きな理由だと思います。その分、責任もありましたが。展示会などもあればたいていは見に行かせてもらえましたし。最初にマニシングセンターが入った時、夜中に皆で頭を抱えながらプログラムを作っていましたが、昔のプログラムはパンチャーでテープに穴をあけて、それがけっこう音がうるさい。上から布団を被せてしましたね。そういう意味ではみんなに支えられてきたからとも言えます。

苦労したことはありますか?

技術部門を手掛けるにおいてはそういう感覚はありません。たしかに夜遅くまでということはかなりありましたが、その苦労より張り合いや面白みのほうが勝っていましたね。マシンを使いこなせるようになって、それで量産品の治具を作れる。お客さんが来ると作ったものをいつも自慢して見せていました。入社した当初、営業で納期についてなどでお客さんと交渉している時のほうがつらいことが多くありました。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください

高度な製品を同一・大量に作るために平賀さんの生産システムの設計・製作の技術は欠かせません。
高度な製品を同一・大量に作るために平賀さんの生産システムの設計・製作の技術は欠かせません。
構想力でしょうか。これをできるだけたくさん持つようにしています。そして、こういうものを使いたいと要望があった時、必要とされるものを探し出してきて、治具を組むさいなどにそれをどう使ったら効果的か考えていくといった作業です。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください。

アルミ押し出し材を加工して作られた複写機の構造部品のサンプルです。平賀さんの創意工夫が反映されています。
アルミ押し出し材を加工して作られた複写機の構造部品のサンプルです。平賀さんの創意工夫が反映されています。
「動き」でしょうか。メカの仕組みを理解してその動きを何を使ってどのようにすれば、より効率のいい動きになるか。それを考えて作り思った通りに動いた時の感動といったものです。その機械が量産でも使えるようになったらさらに面白い。3台作る場合、1号ができたから次も同じものをというのではなく、2号目,3号目と改善しながら作っていきますので、よく「あっちの機械のほうがいい」などと言われます。「しかたないよ、順番に作ってるんだから」と答えますが、そういったことを含め動きの調整といったものに魅力を感じます。

かわさきマイスターに認定されて良かった点を教えて下さい

社長が推薦してくれたということがうれしかったですね。展示会などで名前を貼り出していただいたり、会社のホームページにも活用させていただいたりして、会社としてもいい宣伝効果になっています。会社としては地域貢献という立場から小学生の工場見学などもさせていただいていますが、個人的にもものづくりの楽しさを教えるPRの場などがあれば、いくらでも協力したいと思っています。

後継者を育成するために、何に取り組まれていらっしゃいますか?

今のところ後継者を絞り切れていないのが現状です。じゃあ俺が、というのがでてきてくれればいいのですが。例えば、何かトラブルが起きた時には一緒に処理することも後継者の育成での大事な要素ともなると思うのですが、トラブルが起きたら連絡だけくれ、現場に行くといなくなってしまう。無駄な時間と思うのかも知れませんが、対処の一部始終を見ていてもらいたいですね。じゃあ頼みます、の姿勢ではうまくいきません。何かのきっかけで治具にひょっと興味をもってくれた時がチャンスだとは思いますが。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

まずは行動してみろということです。うまくいくかもしれないし、その逆もあるかもしれません。しかし、その行動をきっかけとして自分の求める世界に入っていけるのではないかと思います。

最後にこれからの活動について教えてください

後継者をなんとか育てたいですね。先ほど言いましたようにタイミングの問題もあります。また、注文先次第で次にどういう類の仕事が来るか分からないところもあります。例えば、今後ひょっとすると治具を使うような仕事ではなく、まったく毛色の違うものが来るかもしれません。その場合どう対処したらいいかなど、その時その時に対応して作りこめる体制が取れる後継者をということにもなりますし、なかなか難しいところはありますが、頑張りたい。

どうもありがとうございました。自分が誇れる技術は構想力という平賀さんですが、身振りを交えながら熱く語る姿からは、本当に機械いじりがお好きなんだなという感動が伝わってきました。
【問合せ先】  
株式会社 クレール

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