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かわさきマイスター紹介

美容師  佐々木 淑子さん

国内外数々のコンテストを制覇。いま後進育成に意欲

提供:川崎市
佐々木さんは1992年、世界美容選手権大会で日本人初の優勝を飾り、日本の美容技術が欧米でも高い評価を得るようになったきっかけをつくるという大きな功績を残しました。その後も国内外の数々のコンテストで好成績を収め、コンテスターとしての地位を不動のものにしました。お店では、顧客の要望を十分に聞き取り、ライフスタイルに合わせた工夫を心掛け、親しまれています。国際総合ビューティーカレッジ校長として美容教育に力を入れる一方、後継者育成のために育英基金を創設し、店舗2階を練習室として提供。講師として全国的に活躍しています。
プロフィール
佐々木 淑子さん
 
秋田県生まれ。1966年山野高等美容学校卒業後、美容の技能を磨き、28歳で独立、現在の店舗「ビーエスシャレット」をオープン。1985年全日本美容技術選手権大会総合優勝。92年世界理美容技術選手権大会総合優勝。00年「現代の名工」受賞。06年黄綬褒章受賞。
川崎区在住。ビーエスシャレット(有)経営。
これは、佐々木さんの技能を紹介する動画です。クリックしてご覧ください。

佐々木さんについて教えてください

始めるきっかけは何でしたか?

「この世界に入ったのは偶然のことからでしたが、子どもの頃から髪をいじるのが好きでしたので、もともと美容師の仕事が合っていたのかもしれません」と語る佐々木さん。
「この世界に入ったのは偶然のことからでしたが、子どもの頃から髪をいじるのが好きでしたので、もともと美容師の仕事が合っていたのかもしれません」と語る佐々木さん。
この世界に入ったのは偶然のきっかけです。親が病気で倒れ、進学をあきらめなければならなくなりました。就職先を探していたところ、担任の先生が川崎美容組合を紹介してくださり、今のこの美容室(前身)で働くことになりました。それ以来ずっと美容業の道を歩んできました。父が倒れなければ家業だった建設会社の事務なんかを手伝いながら別の人生を歩んでいたかも知れません。当時こちらには知り合いもなく不安でしたが、もともと手先が器用なことなどもあって美容の仕事が性に合っていたのか、無事今日まで精進できました。子どもの頃から友だちの髪を結ってあげたりして髪をいじるのは好きでしたが、まさか本当に美容師になるとは思わなかったです。

やっていて1番面白いと感じることは何ですか?

「人を美しくすることで喜んでいただけるのが、この仕事の一番の魅力ですね」。
「人を美しくすることで喜んでいただけるのが、この仕事の一番の魅力ですね」。
人を美しくすることで喜んでもらえること。美容師をしていて一番いいと思うのは、これだと思います。自分自身にとってもお客様の納得されるヘアができた時、技術の満足度を得られる喜びがあります。それと机上でパソコンに向かってする仕事と違って、まさに生きた人間に直接触れる訳ですから10人10色、その時々、素敵な触れ合いが生まれのが、また楽しいです。技術、精神面でお客様から全幅の信頼を得られるようになれば、これこそ美容師冥利に尽きます。
美容と一口に言っても、中身は幅広く奥深いです。カット、パーマ、カラーから始まってネイル、エステ、着付などまでこなす美容師さんもいらっしゃいますから、やっていても飽きがこないのです。種目が多いですから、やればやるほど面白みが増してきます。あと、後輩たちに自分の技術や知識を伝え、残していけることもうれしいですね。それに何と言ったって美容師って、定年がないのがいいですよ。

長年、継続して技能研鑽に努めることが出来たのはなぜですか?  (他の道に行こうと思わなかったですか?)

2階の練習室には、これまでの数々のコンテスト入賞を讃えるポスターがずらりと張られていました。
2階の練習室には、これまでの数々のコンテスト入賞を讃えるポスターがずらりと張られていました。
22歳の時に初めて川崎美容コンテストに出場し準優勝したのを口火に、コンテスターとして国内外の多くの美容コンテストに挑戦し続けられたことが大きいと思います。川崎大会の後、県大会、全国大会を制覇し1986年、ラスベガスで開かれた世界大会で日本代表として3人チームで出場、日本勢として初めて団体11位を獲得しました。続いて87年アジア美容技術選手権大会総合優勝、91年ヨーロッパ美容技術選手権大会、92年東京で開かれた世界理美容技術選手権大会(世界チャンピオン)で団体および個人総合優勝を果たしました。同年、ウィーングランプリ国際競技大会、ゴールデンチューリップ国際競技大会でも総合優勝し、94年以降は世界大会に出場する日本チームのトレーナーを務めています。

苦労したことはありますか?

一時は健康を害し、コンテストに参加できずつらい思いをしたことがあります。
一時は健康を害し、コンテストに参加できずつらい思いをしたことがあります。
いろいろ苦労はありました。美容師としての修業を始めて大体7~8年で一通りのことはできるようになりましたが、本当に自信を持って一人前になれたと思えるようになったのは10年ぐらい経ってからでしょうか。ところがようやく県大会に出場できるようになった二十歳代後半の頃、身体を壊し入院するなど健康状態が思わしくなく、なかなかコンテストに参加できない時期がありました。つらかったです。これで終わりかと、その時は思いましたね。しかし、秋田から出てきた以上、東京人には負けられないという意地もあり、がんばり続けて30歳過ぎについに念願の全国大会に出られるようになりました。3回出場して2回優勝したことが励みとなって世界大会への意欲が燃え上がりました。

自分が誇れる、自信のある卓越した技能を教えてください 

コンテストヘアに挑戦することで、美容師としての高いデザイン力、技能を磨くことができました。
コンテストヘアに挑戦することで、美容師としての高いデザイン力、技能を磨くことができました。
デザイン力、技術力、経験に裏付けられたコンテストヘアです。選手権大会では一定のルールが組まれ、その枠の中で技術力を競い合います。出場者全員が同じ規定をこなしながら、その中で審査員の注目を集めるユニークなヘアデザインを創らなければなりません。
優勝するには、同じ土俵上にありながらも、ほかを圧倒するような独特なデザイン力と技術力が必要なのです。自分の好きなデザインではダメです。私は過去何回も国内外のコンテストに出場し、経験を積み重ねることでコンテストのための技を磨きました。それが夢というか、コンテストヘアの技術を追いかけることが、先ほどの質問にもあった技能研鑽につながって結果的に私の美容技術全体をレベルアップしていったのだと思います。コンテストに出るようになって海外の著名な先生方にもいろいろ教えていただける機会が増えたのもよかったです。
器具の衛生管理にはとりわけ注意を払います。
器具の衛生管理にはとりわけ注意を払います。
愛用のはさみ。匠の指先と一体になって素敵なヘアデザインを生み出したいきます。
愛用のはさみ。匠の指先と一体になって素敵なヘアデザインを生み出したいきます。

ものづくりについて教えてください

ものづくりの魅力を教えてください。

佐々木さんは、自由な発想で新しいヘアデザインに次々と挑戦していきます。「これこそ、ものづくりの魅力」と語る言葉に力が入ります。
佐々木さんは、自由な発想で新しいヘアデザインに次々と挑戦していきます。「これこそ、ものづくりの魅力」と語る言葉に力が入ります。
自分の自由な発想と能力と技術力で1つのものを完成させることができるのが一番の魅力です。それが形として残りますから、ますます醍醐味を味わうことができます。さらに、難しいことに挑戦できるというのもいいですね。それも難しければ難しいほど、ものづくりへの挑戦意欲が湧いてくるものです。

かわさきマスターに認定されて良かった点を教えて下さい

「美容師の仕事や技能について、地元の小・中・高生たちにもっと知ってもらいたい。
「美容師の仕事や技能について、地元の小・中・高生たちにもっと知ってもらいたい。
自分がいっているお店の美容師がマイスターになったと、一番にお客様が喜んでくれましたね。新聞などにも紹介されて反響はすごかったです。マイスター同士では、せっかく色々な技術の人たちが集まっているのですから、もう少し横のふれあいがあるといいですね。個人的には美容師の技能などについてかわさきマイスターとして地元の小・中・高校生等若い人達にも知ってほしいです。

後継者を育成するため、何に取り組まれていらっしゃいますか?

「後進を効率よく教育するのが大事」と語る佐々木さん。
「後進を効率よく教育するのが大事」と語る佐々木さん。
美容師になりたい人は、不器用でもいいからとにかくこの仕事が好きで、長く続けられる意志を持っていることが大事です。昔は「見て覚える」徒弟制度が普通でしたが、今は早くできるように効率よく教育するのが時代の流れです。国際総合ビューティーカレッジには本科生、昼・夜間コース、通信過程などを含め現在、300人ほどの生徒がいますが、早くできるようになることを教育目標に掲げ教えています。今のサロンのスタッフたちにも私の後を追って早くコンテストに出られるよう指導しています。私自身コンテストに相次いで挑戦してきた理由は技能の世界が私に合っているということもありますが、コンテスターとして打ち込む私の姿が刺激となって、お店のスタッフたちがいっそう研鑽意欲を燃やしてくれるという期待もあったからです。

これから「ものづくり」を目指す方たちへアドバイスをお願いします

髪型や美容技術は時代の流れによって大きく変化しますので、幅広い勉強が欠かせません。
髪型や美容技術は時代の流れによって大きく変化しますので、幅広い勉強が欠かせません。
先ほども触れましたが、ものづくりの魅力でもある難しいものに挑戦する意欲を常に持っていてほしいですね。美容の世界で言えば、髪形やカットの技術にも流行があり、特に時代の流れによって大きく変わりますからいつも勉強をしていることが大事です。ファッションや花や草木等からヒントをもらうこともあり、とにかく幅広い勉強が必要です。

最後にこれからの活動について教えてください

1つは、私が持っている技術を若い人たちに伝えていくことです。そのため、これから美容を目指す学校の生徒やお店で教えることにより力を入れていきたいと思います。もう1つは、これまでずっと応援してきてくださったお客様に恩返しをしたいということです。

どうもありがとうございました。
数々の国際美容コンテストで栄誉を獲得してきた佐々木さん。今は現役コンテスターを引退していますが、世界舞台に羽ばたく後進の指導には情熱を燃やし続けています。再び日本から世界チャンピオンが誕生するのもそう遠くないような気がします。
【問合せ先】  
B・Sシャレット

■所在地   川崎区大島3-16-9
■電話    044-222-8796
■FAX     044-222-5619
■営業時間  平日9:30~19:00
              土・日・祝9:00~19:00
■休み    火・第3水