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路傍の晶

(有)青木萬吉商店 青木さん

お店を切り盛りする青木さん。
幼いころから創業者の父を手伝っていた。
お店を切り盛りする青木さん。
幼いころから創業者の父を手伝っていた。
軒をくぐり店内に歩を進めると、ゴーっという深い音が穏やかに耳に届く。音の正体は、店の奥で稼動している精米機のそれだ。そう、青木萬吉商店では昭和29年の創業以来、自家精米を施しているのである。

 創業者である父の思いを受け継ぎ、川崎市宮前区の支店を切り盛りする青木さんの米に対するこだわりは強い。「精米したての新鮮で美味しいお米を提供したい」と語る。
「安全で安心できる、ブランドではなくほんとうに品質のよいものをお客さまにお届けしたいと思っています。ですから新潟魚沼産や佐渡産のこしひかりなど産地を厳選し、生産者の方々との繋がりも大事にしている。収穫は年に一度、秋だけですから、管理にも気を遣っています」

 品質のよい米を仕入れるために、青木さんは自らの足で田んぼの視察へと赴く。太陽光を取り入れる現地のソーラーシステムも、自身の目で確認済みだ。自然の力によって乾燥された米は甘みがあり、味もよい。炊けばふっくらと柔らかな食感のなかで粒の一つひとつが存在感を示し、また時間が経つほどに粘りやこし、甘みが増すという。利用者は宮前区界隈から遠く地方まで、用途も自宅用あるいは贈答用にと幅広い。知る人ぞ知る評判に、オーダーは年々増えているそうだ。
住宅地の一角に佇むお店に
美味しい米と酒が揃う。
住宅地の一角に佇むお店に
美味しい米と酒が揃う。
さて、米といえば豊富な酒類もまた青木萬吉商店の名物である。日本酒や焼酎、ワインなど数多の銘柄が所狭しと棚に並ぶ。手に入りにくい地酒も扱っているため、愛好家もしばしば訪れるという。店の奥にはワインセラーも備えており、シニアワインアドバイザーの資格を持つ青木さんや利酒師のスタッフが好みや要望に応じてセレクトもしてくれる。

「提供する私たちが商品を説明できなかったり、知識不足だったりするのはお客さまに対して失礼」と、青木さんは資格を取得した理由を明かす。
「お客さまの好みを伺い、美味しい食事のお手伝いをできるだけしたい。お米と同様に、お酒もすべて、まずは自分で試しています。私自身、お料理が好きなので、お酒に合うおつまみや、逆にその日の料理にふさわしいお酒をお勧めさせていただくこともあります。ばっちり美味しいものをお探しいたしますよ」
こだわりのお米は、評価の高い特A地区の
契約農家から直接仕入れている。
こだわりのお米は、評価の高い特A地区の
契約農家から直接仕入れている。
さらに、店に立つのが楽しいと、青木さんは微笑う。
「お米にしてもお酒にしても、生産者の方のところへ何度も行き来して話していますから、作り手の顔を思い浮かべながらお客さまに説明することもしばしばです。たとえば、お蔵の風景とか歴史とか、生産者の方の人柄とか……。そういう話も含めてお伝えできるのは、この仕事の素晴らしいところかなと思います。逆にお客さまから教わることもあります。そういうやりとりが楽しいんですよね」

実際に足を運び、見極め、食べて、自ら納得したものを提供し、さらには作り手の想いまで食卓に届ける。その先にはきっと、お腹も心も満たされた幸せな光景が広がっている。


取材・文◎隈元大吾
(有)青木萬吉商店

住所:〒216-0015  川崎市宮前区菅生3-45-11
電話番号:044-977-1129
営業時間:9:30~19:30
定休日:日曜(月1回くらい平日にお休みを頂く場合があります)