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路傍の晶

希望と安らぎのカウンセリングルーム 

パティオガーデン 竹内さん

アメリカの心理学者ロジャーズの理論を
もとに、竹内さんはカウンセリングする
アメリカの心理学者ロジャーズの理論を
もとに、竹内さんはカウンセリングする
「パティオ」とは、スペイン語で“中庭”を意味する。「はじめは不登校や引きこもりといった問題の手助けをしたかったんです。『パティオガーデン』は、家のなかにある庭。つまり外出はできなくても、まずは外界の雰囲気に触れてみよう、外に出るための一歩をここで踏み出そう――そんな思いで名付けました」自身が営むカウンセリングルームにヨーロッパの建築用語を引用した理由を、竹内さんはこう語った。

 不登校や引きこもりに関心があったのにはワケがある。カウンセラーになる以前、20年あまり小学校で教鞭をとっていたからだ。生徒指導にもあたり、問題を抱える生徒と膝を突き合わせることも多かった彼にとって、目指すカウンセリングの焦点は明快だった。

 しかし4年前にこの仕事を始めてからというもの、現代人の悩みが多岐に渡っていることに気付かされたという。
「老若男女問わず、クライアントの層は幅広いですね。たとえば女性をみると、社会に出てさまざまな障害にぶつかる20代、子育てがひと段落して時間を持て余す40代、そして熟年離婚に見られるように、夫の生活パターンが変わって初めて自分の生き方を考える60代の方が多い。男性では20~30代の引きこもりや、社会的責任を負わされる40~50代が多い傾向にあります」
事務所兼自宅の一室には、老若男女
問わず多くの悩める人々が訪れる
事務所兼自宅の一室には、老若男女
問わず多くの悩める人々が訪れる
さらに治療者の想像をはるかに超えるほど、問題の根は深い。高度経済成長期を引き合いに出し、竹内さんは説明する。
「むかしは人々のストレスが肉体、あるいは長時間労働に起因する精神的な疲れでした。だから話を聴くだけで気分転換ができ、回復した。でもいまは悩みの根が、本人が考えているよりもずっと深く、したがって本人も気付いていない問題を分析しなければ解決できない。職場や親子など、人間関係の不具合があらゆる問題の根本にあると、私は考えます」

 思えば彼自身もまた、人間関係に悩んだ経験を持っている。初めて教壇に立った20余年前と現代とでは、教師を巡る環境は様変わりした。かつての教育の現場では、先生を敬いつつ、父兄が学校とともに子どもたちを案じたものだった。だがいまや、親が教師に対し、ときにたてつく時代である。こうして父兄と先生との関係がギクシャクすると、その影響が教員間にも波及する。事実、竹内さんは職場の人間関係に一年間、悩み続けた。そして病に伏し、心身ともに負荷の大きい教職を離れざるを得なくなったのである。
カウンセリングでエネルギーを回復した
クライアントは表情がパッと明るくなる
カウンセリングでエネルギーを回復した
クライアントは表情がパッと明るくなる
「あのころカウンセリングを学んでいれば、もしかしたら教師を辞めずに済んだかもしれない」と、竹内さんは振り返る。
「でも、おかげでいまはストレスがありません。ここでは、悩みをただ吐き出して終わらせるのではなく、希望を持って帰っていただくカウンセリングを目指しています。『目からウロコが落ちた』と、クライアントが言ってくださると、やってよかったなと思います。職業冥利に尽きますね」

カウンセリングの傍ら、彼はカウンセラー養成講座も行なう。さまざまな悩みに対処できるよう、新たな分析法も模索中だ。自身の経験を糧に、鷺沼の一室で竹内さんは日々、ひとの心と向き合っている。



取材・文◎隈元大吾
希望と安らぎのカウンセリングルーム パティオガーデン

住所:〒216-0004  川崎市宮前区鷺沼3-1-22 鷺沼ビル4A
電話番号:044-854-5872
営業時間:10:00~20:00
定休日:年中無休