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路傍の晶

マイプレイセス 植松さん

「ここで充電してつぎの舞台に
活かしてほしい」と語る植松さん
「ここで充電してつぎの舞台に
活かしてほしい」と語る植松さん
遠い記憶が懐かしい。物心ついたころ、植松さんは母の肩を揉むのが日課だった。遊びに行きたい子どもながらの衝動も、周囲から褒められたり、体を預けて気持ちよさそうに眠りに誘われていく母の様子を見るにつけ、日課は次第に喜びへと色を変えていった。

 時は過ぎ、その母が腰を痛めて病院を転々とした時期があった。そのときに出会ったのが温熱療法である。薬草の成分と熱を肌に伝えていくこの治療法は、寝たきりに苦しむ母のみならず妹の持病までも克服させた。もともと体の治癒に興味を持っていた植松さんは、温熱療法に惹かれて資格取得を志し、会社勤めの傍ら学校に通う。そうして療術士の資格を得たのは、いまから5年前のことだ。
鷺沼駅から程近くにある癒しの場所
鷺沼駅から程近くにある癒しの場所
温熱療法は健康に繋がると、彼女は説く。
「たとえばマッサージをするときに、体を温め筋を柔らかくしてから揉みほぐしたほうがより効果的です。また体が湯上りのような状態になり、温かい身体と毛穴が開いた肌は化粧水をどんどん吸い込み、浸透度も全然違う。さらに凝りのある場所、血液の循環の悪い場所は、細胞が活性していない場合が多くお肌が荒れがちですが、身体を熱で温めることで血行がよくなり、オイルマッサージの際にもオイルの浸透が進みお肌に潤いが出ます」

 2年間の勉強を経て療術士の資格を手にした植松さんは、その後、仕事の休みを利用し、エステを行なう知人とともにマッサージのイベントに参加する機会を得た。朝に始まり、休憩を取ることすら忘れて暗くなるまで没頭した。イベントだけではなく、ときには友人のために腕を揮うこともあった。また温熱療法をさらに活かすべく、平行して整体やリフレクソロジーなどリラクゼーションの勉強にも勤しむ。「会社では30分の会議さえ辛く感じたものですが、いまはどんなに長い時間仕事しても疲れないし、楽しくて仕方がない」というほどに彼女は熱中した。また時を同じくして友人づてにさまざまな起業家と出会い、彼らの考え方や生き方に感銘を受けた。「マイプレイセス」を昨年5月に開いたのは、そうした延長線上にあった。
完全予約制のシステムによって、
よりリラックスできる
完全予約制のシステムによって、
よりリラックスできる
「いま、女性のからだは疲れています」と、植松さんは語る。
「乳がんや子宮がんをはじめ近年は婦人病が増えているので、その予防のお手伝いができればと思っています。『母なる大地』と喩えられるように本来、女性の身体は種を育み誕生させるパワーがある。でも種は大地の栄養とぬくもりがあってこそ育つもの。つまり土がしっかりしていないと種を蒔いても育ちません。最近は冷え性の女性が多く、それが不妊症の一因にもなっています。温熱の薬草でぬくもりを取り戻し、整体やオイルマッサージなど総合的な治療でリラックスして、優しい気持ちになって頂けたらうれしいですね」

施術を終えた利用者は、皆一様にすっきりした表情に変わるという。多くは働いている女性で、看護士やヨガの講師、音楽家といった身体に従事する、あるいは身体を酷使する、いわば体のプロも多い。「元気になってもらい、最後に『ありがとう』と声を掛けていただける。仕事して感謝してもらえるのはうれしいことですよね」。さまざまな出会いを通じて辿り着いたこの場所で、植松さん自身、これからも新たな縁を繋いでいく。「MYPLACES」――そこは、訪れた人々それぞれのために在る。


取材・文◎隈元大吾