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路傍の晶

宝石店 銀座ムネトモ/ドレス販売

ルックミー 邉田さん

宮崎台駅前で店を営む邉田さん。<br>あたたかい笑顔でお客様を待つ。<br>
宮崎台駅前で店を営む邉田さん。
あたたかい笑顔でお客様を待つ。
活気を取り戻し始めた終戦後の東京、歩行者ひしめく数寄屋橋の人通り、そして二軒間口の店――。宝石商として働き始めた当時の風景を、邉田さんはいまも克明に憶えている。
「狭いお店でした。商店街ですから、たくさんの人が目の前を行き交いましてね。店では香水も量り売りしていました。スポイトに残ったコロンは瓶に戻さずに、お客さんに振ってあげるんです。それがサービスでした。みなさん、喜んでくださったものです」

宝飾品店「むねとも」の社長との出会いは創業から2年後、昭和35年のことだった。「朝から晩まで怒鳴り散らし、誰も寄り付かない親方」と紹介してくれた知り合いには脅かされていたが、実際に会って話してみると不思議と気が合ったという。「明日から来てくれ」仕事を始めるまでに時間はかからなかった。

 とはいえ、宝石を扱うのは初めての経験である。邉田さんは社長が仕入れてきた宝石を担ぎ、誰に教わるでもなく銀座じゅうのデパートや宝石店に出向いた。朝は早く、夜は遅い。抱えたカバンは10kgを優に超える。それでも毎日、足が棒になるまで営業を続けた。
宝石のリフォームを行なう。<br>埋もれた宝物がよみがえる。<br>
宝石のリフォームを行なう。
埋もれた宝物がよみがえる。
半年もすると次第に売れるようになり、従業員も増えた。二軒間口の店ではいかにも狭い。赤坂へ移り、小売店を開いて切り盛りするようになった。昭和37年、奉職してわずか2年のことだ。

邉田さんはその後も仕事に尽力する。“親父”と慕う社長が亡くなってからは自ら会社を立ち上げ、社長と二人三脚で始めた店も預かった。新宿の高層ビルに本店を構えたときには、他社に声を掛けて宝飾品店が集うフロアをつくった。一見、ライバルが一堂に会することで競合してしまうようにも映るが、企画した彼の考えは異なっていた。「お客さんにとっては、お店がたくさんあって商品を見比べられたほうがいいでしょう? あくまでお客さんのために考える。それがサービス、奉仕の精神だと思います」。世界初とも伝え聞くこの試みは、消費者の支持を獲得した。
ドレスと絵画も扱っている。<br>宝石とともに「美」で括られる。<br>
ドレスと絵画も扱っている。
宝石とともに「美」で括られる。
現在は平成元年に立ち上げた宮崎台の店にその情熱を傾ける。ここでは新宿の本店時代に始めた画廊とドレス販売、そして宝石のリフォームを行なっている。

「いまの時代は宝石を買うよりも直すひとのほうが多くなりました」と、邉田さんは言う。
「みなさん、すでに持っていらっしゃる。ただ、壊れたり洋服にマッチしなかったりで、それを使っていません。せっかくの立派な宝石も、修理しなければ一生引き出しのなかで眠ったままになってしまう。それを復活させてあげたい。販売で利益を得るのではなく、みなさんができないことをして差し上げたいと思っています」

創業当時に培われた奉仕の精神は、いまも変わらず息づいている。「粉骨砕身やっています」思わず笑みがこぼれる。邉田さんが情熱を注ぎ続ける「銀座ムネトモ」は今年、創業50年を迎える。


取材・文◎隈元大吾
宝石店 銀座ムネトモ / ドレス販売 ルックミー


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営業時間:11:00~18:00
*ご連絡いただけましたら、20時迄お待ち致します。
定休日:不定休