川崎36景
※現在は閉園中です。こちらは2008年の情報です。
夏から秋にかけての時期、通り沿いに「梨」ののぼりをよく目にします。
川崎の梨栽培は江戸時代の初期から始まり、大正時代には関東地方の一大産地といわれていました。昭和のはじめには天皇に献上されるほどの全盛期となったそうです。
第二次世界大戦になり、食糧事情が悪くなったことから市内の梨は強制的に伐採、戦後の都市化により後継者も少なくなってしまいました。
が、今でもその伝統を受け継いでいる農家が「多摩川梨」を作りつづけています。
看板の「もぎとり」がいい。
年季の入ったこの看板にひかれ、ここで梨を買おう!と決めました。いや、むしろここで買わなくてはいけないのでは!とも。
すいませーーーん、梨くださーーーい!
看板には「もぎとり」の4文字が。
ここは梨狩りもできるらしい。
店先には人はいないようですな。
なんとも商売っけのない、のんびりとした梨屋さんだ。
でも、奥にはなにやら作業をしている人たちが…
「1500円」が落ちそうですよ。
「あらあらいらっしゃい、気が付かなくてごめんなさいね」。
笑顔で迎えられてちょっとうれしい。
あの、ここって梨狩りもできるんですか?
料金はおいくらなんでしょうか?
「ええ、すぐできますよ^^」
どうぞと青いかごを渡してもらったものの、心配なことが…
まず、料金を聞いておきたいんです。
だって、山梨で桃狩りしたとき驚くほど高かったから…
そう、私は桃狩りでうっかり4500円、メロン狩りでは8000円も使ってしまった過去があるのです。なので「狩りもの」には気をつけているんです。
「この色が一番食べごろなんですよ」と丁寧に教えてくれる
「料金って、なんの? 買う分を自分で採ってもらうだけだから梨狩りの料金ってのはないんですよ」
と、なんとも奥ゆかしい説明。
聞いてみると、「梨狩り」そのものは無料、「買う分を自分で採る」っていうシステム。
梨の大きさとだいたいの値段を教えてくれるので、安心して梨狩りができます。ああ、なんてうれしい!
梨がいっぱい!
さあ、とるぞ~~!
このへんが「豊水」。あっちが「清玉」ですよ。
と、梨の種類も教えてもらい、あとは自分で収穫です。
あっちもこっちも梨がいっぱい!
ここは梨天国や~~(彦麻呂ふう)。
梨の収穫はずっと中腰…
けっこう腰にきます。
鳥よけ?CDがいくつもぶら下がっていた。こんなところにもITの波が…!
梨の収穫は、思ったよりも大変。
梨園は、身長156センチの私が中腰になるくらいの高さなので、どれにしようかと迷ってばかりいると、だんだんと腰が痛くなってきちゃうのです。
腰をとんとんしている私の前を、おばあちゃんがスイスイ歩いていく。
おばあちゃん、梨狩りって腰にくるね~~、これ毎日仕事でやるのって大変だね。
「そう言ってわかってもらえるとうれしいねぇ、こないだ来た人も『これじゃばあちゃんの腰が曲がるのも仕方ないな』って言ってたんだよ」
笑いながら答えてくれたおばあちゃんの腰はみごとなほぼ直角だ。
ちょっぴりおすましのおばあちゃん。
おばあちゃんは、いつから梨園をやってるんですか?
「嫁にきてからずっと」
しかしおばあちゃんがいつ嫁にきたかが私はわからないからさぁ…
「俺が生まれる前だから、60年前くらいだよ」
と、息子さんが教えてくれた。
「その頃からある、うちで一番古い梨の木があそこにあるんだよ」。
あづま園で一番古い梨の木。さすがに立派!
太い枝は他の木の幹と同じくらいある。
2個で約1キロくらい。
かなり大きいね、これ。
よりすぐりの大きい玉を4個収穫。美味しそう~
はかりに乗せたら、2個ですでに1キロ。でっかい。
腰痛になりながらもじっくり選んだかいがあった。
「どうぞ食べて少し休んでってください」
と、むいてくれた豊水が、ほんとにほんとにすごくすごく美味しかった。
ごちそうさまでした~~!
梨狩りは9月いっぱいですよ~、ぜひ行って見てね!
ね、大きいでしょ?
今回梨狩りした梨4個。
左:清玉(せいぎょく) 二十世紀×長十郎
肉質は多汁糖分は強い。完熟すると黄金色になります。 シャキシャキした食感です。
右:豊水(ほうすい) リー14×八雲
赤梨では大。肉質は幸水と同程度。糖度は12%前後。やわらかくて美味しい、甘い!私は個人的にこれが好きです♪