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かわさきマイスター活動レポート

「ものづくり立国・日本」次世代フェスタレポート

2日目

飯嶋 義弘さん

実演の準備をする飯嶋義弘さん
実演の準備をする飯嶋義弘さん
二日目は、大寒波が襲来し、関東でも雪が降る寒さでしたが、会場は終日来場者の熱気に包まれました。
飯嶋さんは、懐中時計の分解と組立ての実演を3回行い、繊細で洗練された技術と勘で見学者を魅了しました。
80個ほどのねじや部品をテーブルのシート上に置いていきます。
80個ほどのねじや部品をテーブルのシート上に置いていきます。
まず、50年前の国鉄(JRの前身)時代に使用されていた機械式の懐中時計を10分程で分解し、ねじや部品を目の前のテーブルの上のシートに置いていきます。当日の歯車やねじなどの部品は、約80個でしたが、複雑な時計だと300個位あるそうです。
ループを使い細かい部品を組み立てます。
ループを使い細かい部品を組み立てます。
その後、組立てに入ります。飯嶋さんは、組立ての際に一見ばらばらに置かれたように見える部品がどの部分の部品か、全て理解されているので、機械のように黙々と正確に組み立てていきます。ぜんまいからの力を一定の速度でほどけていくようコントロールするガンギ車やテンプ、アンクルなどの部品を順序良く、ルーペを使い慎重にかつ的確に戻していきます。
飯嶋さんの手元を見ようと飯嶋さんに近づく見学者。後方の見学者は、スクリーンで実演の模様を見ます。
飯嶋さんの手元を見ようと飯嶋さんに近づく見学者。後方の見学者は、スクリーンで実演の模様を見ます。
飯嶋さんの職人芸の技を近くで見ようと、見学者が飯嶋さんの手元近くに集まりました。後方の見学者は、背後のスクリーンで拡大されて映し出される部品や飯嶋さんの手元の様子を熱心に見入っていました。
時計の誤差を測るチェッカー。飯嶋さんが分解・組立てした時計が置かれています。
時計の誤差を測るチェッカー。飯嶋さんが分解・組立てした時計が置かれています。
途中、飯嶋さんはチェッカーで時計の精度を数回テストして誤差を調整します。このチェッカーを使うと機械式時計が1日に何秒ずれるかを計ることができます。
最後に文字盤、秒針、長針を乗せて組立てを完成し、時計を再び動かし作業が終了しました。
終了と共に見学者からは、静かな拍手と溜息が洩れました。その間、かかった時間は僅か20分ほどでした。

来場者からのコメント

■第一回目の実演を最初から最後までじっと見入っていた20代の女性
「私は、ジュエリーのキャスト(鋳造)の仕事をしていますが、とても勉強になりました」
飯嶋さんの技能は、若い後輩にも魅力のあるものですね。

■60代の男性
「凄いとしか言いようがありません。感動しました」と少々興奮気味でした。

飯嶋さんのお話

「今日の実演で使った時計は、単純なものだったので、分解、組立てとも苦労なくできました。高級な時計ほど部品も数百個あり丁寧に作ってあるので、難しいのです。普段、他の人に直せないものを直せたときはとても嬉しいですね。マイスターになる前となってからは、信用度がアップし注文が物凄く増え、長年の努力が報われた感じです。ぜんまい時計は、2年に一度くらいはメンテナンスして欲しいです。手元にあって直してもらいたい時計や相談したいことがあれば、気軽に連絡してみてください」
 飯嶋さんは、時には自分でパーツを作り、また、週に一度は時計の部品を探しに御徒町まで行き、修理に活かしているそうです。常に新しいものにチャレンジする飯嶋さんの姿勢が、時計に命を吹き込んでいるのですね。
飯嶋義弘さんのプロフィール

かわさきマイスター認定年度:平成19年 時計技能士
 ロレックスなど、様々な高級アナログ式時計の複雑な構造を理解し、故障箇所を的確に把握し、分解、洗浄、破損・磨耗した部品の交換、組立てを行います。部品の在庫がメーカーにない場合は卓上旋盤などを駆使して自ら製作します。ロレックス特有の金と銀のベルトも本来の外観を損なわないよう自製の研磨機で丁寧にみがきます。時計の部品機構は、メーカー毎に異なっているため、その構造を解明し、工夫をしていくことに面白さを感じています。後継者の育成にも大変熱心であり、時計技術者が集まる「日本時計研究会」で技術・技能の普及に努めています。川崎区在住。時計工房飯嶋経営。

■問い合わせ先: 時計工房飯嶋
■住所: 川崎区池田1-9-3 
■電話: 044-233-6929
■FAX: 044-233-6945
■営業時間: 9:00~18:00
■休み: 日・祝日